論外 ページ4
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『おはようございまーす』
通い慣れた赤煉瓦のビル、�� 武装探偵社 �瓩判颪�れたプレートが貼られた事務所の扉を、朝一番の挨拶と共に潜った
云わずもがな私の職場である
「――２分13秒遅刻だ」
そして開口一番秒単位の遅刻を指摘してくるこの人こそ、昨日私に半休を御恵み下すった菩薩、国木田独歩だ。時に、否、常々口煩い
『エレベーターが点検中だったんですう』
「屁理屈を云ってないでさっさと仕事に掛かれ」
全く、実家の母ちゃんの如きあしらい方である
私だって早く仕事に掛かりたいのだ、だが其れを許さんとばかりに私のデスクで灰になっている人物が居る
その気になれば、人は何もしなくても灰になる事が出来る様だ
『――おはようございます太宰さん』
「おはよーAー、昨日はよく休めたかーい？」
『顔を上げて目も開けてから云う台詞ですよ其れ』
至極眠そうな声に、手慣れた返しをして数秒待つと、「んんー」と唸りながらのそり、頬に寝痕の線を入れた其の人―――太宰治が起き上がった
寝起きだというのに腹立たしい程整った綺麗な顔である、頬に一筋入る痕ですら芸術かと錯覚しそうだ
『おはようございます』
「おはよう、さては君、遅刻したね？」
にやりと、確信ついて国木田さん曰くの遅刻を云い中てられ、判りやすく顔に「如何して判ったんですか」と書いてしまった
「見てごらんよあれ」
愉しそうな太宰さんが指差した方を見ると、正に其の人、国木田さんが、「全く最近の若者は」ウンタラカンタラとボヤいている所だった
一つ注釈を入れておくと、彼、国木田さんと私は、紛う事なき同い年である
敬語は単に私の方が経歴的に後輩だからで
故に彼の云う「最近の若者は」ってのは或る意味ブーメランだ
然し面倒臭い、たかが2分13秒されど2分13秒らしい
『あの人絶対彼女出来ませんよね』
「なってあげたら？」
『やですよ、断固拒否です』
「酷い云い様だね、流石Aだ」
『私はもっとこう、ミステリアスな人が好みなんです』
「国木田君には其の欠片も見出せないね、残念」
実に云いたい放題である
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世河経(プロフ) - 孫うこと無き神作を見つけた (2022年3月23日 11時) (
レス) @page4 id: 41bf3298cb (このIDを非表示/違反報告)
野良神(プロフ) - すみません、26ページなんですけど、ドスエフスキーになっていましたよ？ (2018年12月21日 14時) (レス) id: d6c3f54fc0 (このIDを非表示/違反報告)
狐の涙(プロフ) - フョードルさん、いいですね。生命の輝き!! (2018年10月13日 21時) (レス) id: e918fb1bd4 (このIDを非表示/違反報告)
ハニー - ドストさんすき…あゝでも生命の輝きもすき…もッと云うなら骸砦組だいすき。 (2018年10月5日 11時) (レス) id: f040ea1a18 (このIDを非表示/違反報告)
彦星(プロフ) - 今更コメントすみません、失礼します。最高でした(;_;) ドス君、、、最高の作品をありがとうございました！応援してます！ (2018年7月4日 17時) (レス) id: 3e6db4893b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お餅
| 作成日時：2018年4月14日 15時
