真選組の黒ずきん【銀魂】

第24話 ページ27

私は山崎さんから押し付けられるようにラケットと羽をもらった。


ラケットを持つのは久しぶりだった。私は取り敢えず羽を投げて屯所の塀に当ててみようと思った。


しかし、とてつもなく長い間バトミントンをしていなかったせいで、手元が狂い、羽は山崎さんの顔のど真ん中に当たる。つまり、鼻に当たる。


山崎「痛たたた。」


山崎さんの鼻からは鼻血がめちゃくちゃ出ている。


鼻血が出るほど強く打ったつもりはなかったのだが、山崎さんは鼻血が止まらないほど出ているので、かなりの強さで打ったに違いない。


A「大丈夫ですか？山崎さん。」


しかし、山崎さんは、鼻を手で押さえながら、


山崎「大丈夫だよ。ところでどうしてAちゃんはこんなところにいたの？」


大丈夫だと答えた上に、話題を変えてきた。私は山崎さんが変えた話題に乗る。


A「悪夢を見てしまって…。自分のお葬式の夢です。

みんな泣いてて、あまり会ったことない親戚の方々まで泣いてて。

自分は棺の中で眠ってて。死化粧でも隠しきれないくらいの傷が顔にあって。

流石にもう一度眠ることは出来なくて。」


すると急に私の目から涙が出てくる。


A「本当はあの人たちに伝えたかったんです。自分は別の世界で元気に暮らしています。だから心配しないで。って伝えたかったんです。

でも、聞こえないとわかっておきながら、『ごめんね』って言ったんです。」


すると急に山崎さんの手が動いたかと思うと、私の頭を撫でた。


山崎「俺はAちゃんじゃないから、Aちゃんがどれくらい辛いか分からない。

でも、この世界で自分が死んだことを引きずって生きるよりも楽しく過ごすのがいいんじゃないかな？」


山崎さんの言う通りだ。しかし、鼻血がめっちゃ出ているせいで、かっこいい言葉もそこまでかっこいい言葉には聞こえない。


でも、私は山崎さんの言葉に救われたと思う。私は涙をぬぐいながら山崎さんに言う。


A「ありがとうございます、山崎さん。山崎さんのお陰で少し元気が出ました。」


そう言って私は山崎さんに笑顔を向ける。すると山崎さんが、


山崎「やっぱり住む世界が別でも笑顔で元気に生きることこそみんなが望むことなんじゃないかな。」


と、言い、山崎さんも私に笑顔を向けてきた。私は改めて山崎さんにお礼を言うと、自分の部屋に戻った。

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