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“ 絶対に振り向かせてみせる ”
グルグルとジョンファンの言葉の意味を考えているうちにあっという間に昼休みが終わった。
隣にジョンファン、後ろにハルト。
“ お前は俺の犬。それきちんと分かれよ ”
思い出して鎖骨が痛む。クソだ。
最高に気まずいこの状況で「Aちゃんってどこ住み?」と話しかけてくる男、ジュンギュ。
空気が読めないバカだけど、今だけは本当に助かる。
「え、えっと私の家はヒルトホ……」
JK「…ん?」
ヒルトホテルの近くの……と言おうとしてハッとなる。
ヒルトホテルと言えばハルト!ジョンファン!
だめだ、この状況でこのワードは絶対にダメだ。
「……ヒ、ヒルトホタテって知ってる?」
JK「なにそれ、ヒルトホテルで売ってるホタテ?」
「そ、そう!!それが採れる場所の近くでさぁ……」
JK「へーそんなのあるんだ。あ、てことは海近いの!?」
「う、うん!実はそうなの!」
JK「えー!!行きたーい!!」
ジュンギュがバカで本当に良かったと思った。
ヒルトホテルから少し話がズレて心の中でガッツポーズを決めた私に、「うちそんなの取り扱ってないけど?」と声をかけるハルト。
…おい、空気読めよ。
JK「え?どういうこと?」
「いや、その…」
HR「なぁ、俺にも教えてくれよ、お前ん家」
JK「え?だから海の近くでしょ?」
「いや、うぅ……ご、ごめんジュンギュ……それ嘘なの……」
JK「……な、なんですって!?お母さん、あんたを嘘つくような子に育てた覚えありませんよ!!?」
「育てられた覚えねぇよ」
泣き真似をするジュンギュ。
おい、お前被害者みたいに泣いてるけどゴム渡してきたこと私まだ根に持ってるからな。
HR「で?ヒルトホ……なに?」
「い、いや……これ以上はプライバシーの侵害なんで……」
心の中でいくらクソ野郎だと思っていても、反抗することは怖い。
鋭いハルトの視線が刺さる。ついでにジュンギュの期待を含んだ視線も刺さる。見るな。
HR「俺の家教えてやろうか」
「いや、いいです」
HR「ヒルトホテル近くのプレミアム住宅街」
「聞いてない……」
私の住んでるところはヒルトホテル裏のプレミアム住宅街隣の普通のマンション。
近い。嫌な予感はしたけどめちゃくちゃ近い。
どれくらい近いかと言うと、近所の公園を共有するくらい近い。
終わりだ、ハルトがご近所さんだなんておしまいだ。終わりの始まりだ。
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うちゅちゅちゅじぇひょくん - コメント失礼します!今まで見たtreasureの妄想の中で一位になるくらい面白いです笑キャラも最高だし、ところどころのツッコミ?とか主人公の性格も面白いし似てるというかとにかく最高です!応援してます! (6月18日 16時) (レス) @page45 id: 30883e7dee (このIDを非表示/違反報告)
にょっぱ(プロフ) - 大車輪に毎回吹き出しちゃいます。素敵な作品を掲載して頂いてありがとうございます!これからも応援しています♡ (6月11日 23時) (レス) @page26 id: 3902eee54d (このIDを非表示/違反報告)
どりぃ(プロフ) - じぇさん» 書き手再開しました。お待たせしました。また自分のペースでちまちま更新していきますm(_ _)m (2023年5月2日 16時) (レス) id: 3103c196aa (このIDを非表示/違反報告)
どりぃ(プロフ) - ?.さん» ありがとうございます。また自分のペースでちまちま更新していきますm(_ _)m (2023年5月2日 16時) (レス) id: 3103c196aa (このIDを非表示/違反報告)
どりぃ(プロフ) - 千春さん» 大変お待たせしました。またちまちま更新していきますm(_ _)m (2023年5月2日 16時) (レス) id: 3103c196aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どりぃ | 作成日時:2021年11月14日 10時