可愛い系の最恐六年生 弐

分からない感情の段 ページ2

Aside
兵助が部屋から出ていった後俺はその場に倒れ込んだ。

疲れている訳じゃないのに重くなる体。

眠いわけじゃないのに閉じようとする瞼。

どうしようか考えている途中で俺の瞼は完全に閉じてしまった。





夢を見た。

その夢の中で俺は真っ青な何処かに居た。

『(何処だ？此処)』

ボコボコボコッ

口を開ければ空気が無くなり口の中に水が入ってきた。

『(海……いや湖か？)』

体を動かそうとしても上手く動かせない。

『(水の中ってのはあながち間違ってないみたいだ)』

どれだけ見回しても広くて、真っ青で。

『(夢……か)』

眠くなかったのに眠った訳はなんだ？

少し考えていると目の前が白く光り出した。







“本当に駄目な子だね！お前は！ーーはなんでも出来るのにお前は！何も出来ないじゃないか！”

“産んでやったのに恩返しも出来ないのかい！？こんな役立たず産むんじゃなかったね！”

“お前は産まれる価値のない人間なのさ。……………人間じゃなくて化け物か”







『(………ムカつく)』

何時もなら聞き流す言葉なのになんで今だけはイライラするんだ？









“誰がなんと言おうともお前は俺の可愛い息子だ。俺がお前を救ってやる”

手を差し伸べてくれ貴方は俺にとって太陽のような存在。

優しくて、たくましくて、凛々しくて……。

貴方の様になりたかった。

貴方の様に強くて、優しい人に。

けれどそんな事誰も望んでいない。

化け物と罵られ、石を投げられ、殴られ、蹴られ、斬られ、……。

全てが嫌だった。

俺の周りの綺麗な水がどんどん黒く染まっていく。

嫌だ、誰か、誰か助けて！

自由になりたい。









『…………助けて』ﾎﾟﾛｯ








？？「大丈夫だぞA。私達が側に居る」

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