其ノ仇 愛華の初仕事 ページ9
愛華「あっ、アルさん！？」
アル「礼を言う。愛華殿、それと舞音」
ｹﾗｹﾗｹﾗ……いいのヨ……タワシの仕事だもノ
愛華「この声の主が、舞音さん、って言うんですか？」
アル「そうだ。舞音、そろそろ出てきてもいいだろう」
急に近くの木から少女が降りてきた
愛華「！？」
降りてきた少女の肌の色は、肌色ではなく、緑色だった
アル「姿は恐ろしくとも、優しい子だ」
と、アルさんは少し恐怖心を和ませてくれる
愛華「こ、こんにちは」
舞音「ｹﾗｹﾗ、こんにちハ」
愛華「えっと、アルさんに報告してくれてありがとうございます」
舞音「いいのヨ、タワシの仕事だかラ」
話せば少し変わってるけど、なんら変わりのない可愛らしい少女だ
多分。
舞音「それよリ、アルちゃン？人面犬は捕まえなくていいのかしラ？」
アル「そうだったな」
愛華「あの、どうして人面犬さんを捕まえるんですか？」
アル「人間が廃棄した廃棄物を漁って街を荒らして迷惑をかけていると報告を受けたのでな」
愛華「それは迷惑かも……」
しかもあの容姿だし……
アル「人間に迷惑をかけているようなら、人間界に住んでいる意味など毛頭無い」
愛華「人間界……？」
アル「また、人間界の事にもついて話そう。愛華殿、少し手伝ってはくれぬか？」
愛華「は、はい」
アル「これを渡す」
そう言ってアルさんが差し出したのは焼きおにぎり
愛華「焼きおにぎり？」
アル「あの人面犬の名は「咲造」生前の好きなものは焼きおにぎりだ」
愛華「生前……」
アル「人面犬は2種いる。世にいうサラリーマンというやつが、犬関係で死亡し、人間界に執着してしまい、犬と化してしまった場合と、本当に犬と人間の獣人の場合だ」
愛華「獣人とは……？」
アル「獣に人と書いて獣人。いわば人間と動物の半妖だな」
愛華「半妖とは」
アル「半分妖怪半分人間」
愛華「な、なるほど……」
アル「今回の人面犬はサラリーマンの場合。元は人間、人間が話すのが手っ取り早いんだ」
愛華「で、私に」
アル「あぁ。頼めるか」
愛華「えっと、これを渡せば……？」
アル「それで人面犬を釣ってくれ。道案内は舞音にさせる」
愛華「えっ！？私どこに行けば？」
アル「大蛇の館(おろちのやかた)だ」
愛華「大蛇の館？」
アル「いわば、私達の家」
愛華「そこに行くんですか、私」
アル「帰りは必ず送る。大丈夫だ」
愛華「そうですか……」
アル「では実行だ。頼むぞ」
愛華「はっ、はい」
と、アルさんはまた煙のように消える
大丈夫かな……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ムーンナイト-moonnight- | 作成日時：2018年1月21日 0時
