其ノ肆拾参 精神世界での出会い ページ43
あ、れ……私……どうしたんだっけ……
私は目覚めた場所で起き上がる
愛華「ここは……」
確か私は……
そう。私は朝谷さんに刀で肩を……
愛華「あれ！？」
刺されたはずの肩には刀どころか、傷の一つも無かった
それに、この場所は森の中ではなく、真っ白な空間だった
立ち上がり、周りを見渡すが、果てしなく広く、何処までも真っ白。
そこに1人、こちらへ寄ってくる人が見えた
「よっ」
愛華「ええっ、と……貴方は……」
「では問題。君の母親の旧姓はなんでしょう」
愛華「え？き、旧姓？えっと……確か、ひじk……」
土方……いつだったか、お母さんに教えられたことがある
架奈子「いい？愛ちゃん。江戸時代の末期に、京都で活躍してた人達がいるんだけどね」
愛華「新撰組？」
架奈子「あら、よく知ってるのね」
愛華「本で見たことあるよ！」
架奈子「その新撰組の副長は知ってるかしら？」
愛華「えーとね、つちかた」
架奈子「愛ちゃん、それはひじかたって読むのよ」
愛華「土方、がどうしたの？」
架奈子「知って欲しかっただけよ」
そうだ。新撰組。土方歳三
愛華「土方、歳三……さん」
直感で、目の前にいる人物は新撰組副長、土方歳三だと思った
歳三「嗚呼。そうだ」
愛華「……大体、話が分かった気がします。貴方は、私にとり憑いている、霊」
歳三「少し違うな。愛華に取り憑いている訳では無い。"愛華の身体(からだ)の中にいる"」
愛華「中に……まあ、何となく理解出来ました。貴方は眠っていたのでは……」
歳三「嗚呼。俺は16年間愛華の中で眠っていた。が、愛華が霊力を高めた事で目覚める事が出来た。だがしかし、俺は実体がない。且つ、愛華がもっと霊力を高めないと俺は身動きが出来ない。」
愛華「私次第、ということですね」
歳三「まあな」
愛華「でもどうして私はここに、？」
歳三「お前は今意識を失っている。それ故、この精神世界に入り込んだわけだ」
愛華「精神世界？」
歳三「時には記憶を見せ、時には俺とこうして顔を合わせる事が出来る」
愛華「なるほど。分かりました。どうしたら意識を……」
歳三「俺は既にもう屍人(しびと)。妖(あやかし)とそう変わらない。それこそ妖力を操れるようになった」
愛華「妖力……」
歳三「少し手荒だが、俺の多少の妖力を使って肩の傷を治そう」
愛華「……え！」
歳三「では、またな」
カル「ふざけるな！」
ウミ「クソっ……」
カルさんとウミさんの叫び声が聞こえる
とりあえず、少し話を聞いてみようか……？
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作者名：ムーンナイト-moonnight- | 作成日時：2018年1月21日 0時
