血と人間と妖怪の腐れ縁【オリジナル】 (ページ24)

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其ノ弍拾肆狂った女、『お瀧』ページ24

犬山？「侑紗と私は似てるのよ。好きになった男を……殺したいほど愛したの。私は1人の男に恋をした。そしてその男を殺して、自分も死んだ。だけど……その男は殺せていなかった。男には逃げられ、私は一人地縛霊となって一生、この学園からは出られない」
そんな……
愛華「……ごめんなさい」
この人も辛かったんだ……
犬山？「いいのよ。私には"イレモノ"があるわ」
愛華「いれもの？」
犬山？「地縛霊は死んだ場所からは動けない。だけど、人間に取り憑き、肉体を自分のモノにすれば、イレモノになるの」
愛華「……どうしてそんな事」
犬山？「あの男に復讐するに決まってるじゃない！！あの男……私だけを置いて生きたんだわ……許さない……許さない許さない！！」
犬山侑紗さん……いや、地縛霊は私に向かって走ってくる
逃げ場がない……！
咄嗟に目を瞑った

…………

ゆっくりと目を開けると、月が目の前に立っていた
愛華「月！」
月「走るぞ」
愛華「え」
月は私の手を引き、屋上から走り出る
愛華「犬山侑紗さんは！？」
月「心配するな、後ろを見てみろ」
言われた通り後ろを見ると、包丁を持った犬山侑紗さん(地縛霊)が走ってついてくる
愛華「ヒッ……」
月「今はただ走れ」
愛華「どこに！」
月「いいから」

中庭
愛華「はぁっ……疲れた……」
月「大丈夫か？」
愛華「大丈夫じゃないかも」
そう言うが、逃げなければならない
あの地縛霊が近付いてくる気配がする
月「愛華、これを」
渡されたのは香水程の小さな瓶
愛華「何これ」
月「彼奴を封じる封印だ」
愛華「封印……」
月「これを持って、彼奴が来たら……」

犬山？「あの男諸共死ねぇぇぇ！！」
犬山侑紗さん(地縛霊)が包丁を振り回して走ってくる。
月「愛華！」
愛華「地縛霊、お瀧。悪しき地縛霊はこの封印に鎮まり眠りたまえ！」
犬山？「何……嫌……」
犬山侑紗さんの身体から地縛霊が出てきて、電流が走ったように動けなくなる
月は気絶した犬山侑紗さんを抱え、茂みに横にする
月「お瀧。最期に言いたい事は」
名前、お瀧さんって言うんだ……
お瀧「情けなんていらないわよ……どうせ、このまま一生1人でその封印の中で生きていくのだから……地縛霊の時点で復讐なんてできっこなかったのよ……」
月「このままお前は来世行きだ」
お瀧「へ……？」
月「一時的にこれに入ってもらうが、これに入って次に目覚める時はもう来世だ」
お瀧「アンタ……」
月「俺は生命(いのち)を操る者。竜ノ月だ。覚えておけ」