さんじゅういち。※過去編 ページ33
『クソッ…どうして、うまくいかない』
俺は冷たい地下牢に閉じ込められていた
理由は俺が知っているはずのないことを知っていた事。トントンは結局俺の事をスパイだと結論付けたようだ
いっそ、前のループに戻ってやり直すか…?
実は俺のこの能力は、任意のループへと時を巻き戻す事ができる
ここで言うループとは、言うなればある一定の期間をセーブしてあるセーブデータのようなものだ
俺の能力はそのセーブデータをロードできるというだけで、俺がセーブする場所を決められる訳ではない
幹部の皆の死をゲームオーバーとするならば、俺は何度もコンティニューしている。今回のループの難易度は…難しい方に振り切れているだろう
俺がスカウトされてからこんなに苦戦したループは初めてだ。このクソゲーめ。クリアするまで何回でも巻き戻してやる
…さて。気持ちの整理がついた。やるべきことも決まった。コンティニュー、するか?
んー…今回は銃を持ってないな。面倒だが、ここから出されるまで待つしかないな
地下牢の固いベッドに虚ろな目をしながら大の字で横たわっていると、トントンが牢の前に来た
「A。疑ってすまんかったな…。無実やって証明されたで。大先生とロボロには感謝するんやぞ」
そう言ったトントンは酷くやつれていた
それから俺は地下牢から出され、元の生活に戻って良いと言われた
グルッペンの後を継ぎ、総統となったトントンは日に日に弱っていった
しんぺい神からは仕事のし過ぎだと怒られていたが、仕事をしていないとグルッペンのことを思い出してしまうらしい
他の幹部も同じでここのところ顔色が優れなく、ボーッとしていて普段ならしないような失敗も増えた
俺がここまで巻き戻さなかったのは…一回だけグルッペンが死んだ後の世界を見てみたかったからだ。覚悟を決めるために
泣きたくなるくらいの快晴の下、俺は城の屋上へと来ていた
トントンを呼んであるので、もうすぐ来るだろう
柵に座って待っていると、声をかけられた
「そこ危ないで」
『知ってる。早速だが、俺の決意を聞いてくれ』
「決意…?その前にこっち来いや」
『一つ、正体は隠す。一つ、何を言われても自分を貫く。一つ、敵を殺す事を躊躇わない。一つ、準備は怠らない
最後に。…何があっても、絶対に諦めない』
蒸し暑い日差しの中、俺の体は宙へ投げ出された
その時のトントンの顔は、今でもよく覚えている
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fact - 前作を久しぶりに拝見させてもらっていたら新作が出ていたので驚き、すぐさま読みました。前作と同じで次がとても気になって仕方なくなります…これからも応援してます。無理しない事を優先に更新まってます!素敵な作品をありがとうございます✨ (2022年6月7日 16時) (レス) id: 5d3c36cea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山田。 | 作成日時:2022年5月29日 14時