【立海】最悪なキスを君に。final【嫌われ】

79、幕切れとペテン ページ11

高橋｢…な、なによ!!｣

自然と全校生徒が高橋を取り囲んでいた。

一人の少女が口を開く。

｢あんたは被害者じゃないよ。…重罪人だよ。｣

ひどく冷めた声色でそう言ったのを口火に、高橋への不満が溢れた。

｢何嘘ついてんだよ!!｣
｢ほんっと最低!!!!｣
｢性格までブスなのかよ!!!｣
｢佐倉さんに謝れよ!!｣


高橋｢あっ、あぁ……｣

高橋は広がる罵声に、悲嘆の声を漏らし、その場に崩れ落ちた。

｢アンタのせいで、あたしらAに酷い事しちゃったじゃんか!!!｣

｢土下座して謝れよ!!!｣

私のいたグループの子達が、泣き怒りしながら高橋の髪を掴み、床に捩じ伏せる。

『………ッ』

声も出ない。

だって、まるで私を見ている様。

高橋｢痛い!!嫌ぁぁ!!!…ごっごめんなさいぃぃ!!!!｣
高橋が悲鳴の様に叫んだ。

なんておかしな情景だろう。

さっきまで高橋の味方だった筈の人達が

オセロを端から裏返すように敵に変わり、高橋に牙を剥いている。


仁王｢ゲームオーバー、じゃの｣

悠長に手摺に凭れながら、仁王が呟いた。

ブン太｢俺達の勝ちだろぃ｣
ブンちゃんも満足そうに笑った。


『…………』

―――信じられない。

ここまでの約１ヶ月、地獄の様に繰り返した日々は

あまりに呆気ない幕切れとなった。

下から聞こえる雑音に包まれながら、妙な脱力感に襲われる。

仁王｢あーあ。あのビデオ折角撮ったのに、全然使えなかったナリー｣

『…ん?』

今なんと仰いました？

『仁王、それってさ…

最初から、ビデオを撮ってたってこと??』

仁王｢ピ、ピヨッ｣

『ピヨッじゃないでしょ。
何であの時すぐ出してくれなかったの??^言^←』

少し怖い声で言ってみたら、

｢だって;なんか面白そうだったから、暫く黙って様子を見ようと思ったんぜよ!! そしたら言い出せる雰囲気じゃ無くなって…;｣

とか言いやがるので、キレました。

『おﾝ前ぇーーーー!!!ふざけんのも大概にせぇよーーーー!!!!』

なんて事だ。結局、立海全体がペテンに掛けられていたんだ。

コイツ…一発殴ってやる!!

って所で

私の声に気づいた人達が、続々と２階に上がってきた。

生徒｢A!!｣
｢ごめんね、私達…Aに酷い事した｣
｢また、仲良くしてくれよなっ｣

『…………!!』

散々無視したり嫌がらせした癖に、なんて都合が良いんだろう。

でも、久々の皆との会話に胸が一杯一杯で

『もう…いいよっ』

としか言えなかった。

ワッと皆が私に駆け寄ってくる。

これでハッピーエンド。


という訳には


いかないんだよねぇ。

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