7 I need thing is you don't need. ページ7
ルナードはそこに“いた”。
それが答えだろう。
お前はあの日、逃げてきたんだな。
あの家という地下牢から。
俺なら愛してやれる。俺は自分が嫌いだ。
俺によく似たお前を愛することで、
俺は自分を許せる気がする。
「ルナード。これからは、俺と一緒に生きろ。お前のことは、俺だけが愛してやれる。
せっかく逃げ出せたのに、
捕まっちゃ意味がないだろう?」
ルナードは。俺の足に飛びついた。
そして、じっと俺の目を見て、
回した腕をさらにきつくした。
ありがとう。
下手くそでも嬉しいよ。
「愛している。ルナード。」
俺は声を震わせながら言った。
「ルナード。声を、聞かせてくれないか?」
蚊の鳴くような声で言った。
「お前が何を言っても、俺は怒らないから。」
それでも、ルナードは何も言わない。
何だか寂しくなって、泣いた。
しゃがみ込んで、泣いた。
ルナードは、俺の袖を少し引っ張って、
涙を拭った。
そして、無理やり笑った。
母親が、子供をあやす様に。
そうか。
言葉なんて、要らないんだな。
「ありがとう。」
口じゃ俺を癒せないから。
そっと涙を拭ってくれた。
本当は、俺の言われた事の意味も分からず、
そこにいただけなのだろう。
それを、独り善がりの妄想で、
その理由を自分好みに塗り替えているだけ。
最低だ。
そう。
ルナードは人間だ。
魔物の我が儘で、傍には置けない。
いつか自立させねば。
教会の日曜学校にでも通わせようか。
こういう子供は、いくらでもいるだろう。
翌朝、教会の前に立つが、足が進まない。
指を近づけると、鋭い痛みが走った。
やはりか。
だが、引き返す訳にはいかない。
「すみません、
この子に言葉を教えて欲しいのですが!」
ひとまず叫ぶ。
ルナードが袖を引っ張る。
その顔は怯えている。
人間が怖いのだろう。
「大丈夫。俺を信じろ。」
古そうな教会のドアが軋んだ音を
立てて開いた。
「見ない子だね。私はソフ。ここの司祭だ。」
年を取った司祭が、こちらに近づいてくる。
眼鏡の奥の、
人を見定めるような落ち窪んだ目。
聖職者だからというより、
動物的本能がぞうっとさせた。
「やけに懐いておるな。」
「え?」
「お前さんの子ではないじゃろ。」
「はい。まあ、いろいろありまして……。」
司祭はルナードの手を引くと、
教会の中へと入っていった。
「どうした?入りなされ。」
「いいえ。私はここで。」
そう言うと、穿った目をした司祭は、
顔を引っ込めた。
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作者名:クインテット | 作成日時:2016年7月7日 22時