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ぼんやりとした視界の中、いっぱいに映る天井。
シパシパと何度か瞬きをすれば徐々にクリアになっていく視界と脳内。
「……...」
ゆっくりと左手を動かしてみると鈍痛が走る。
死んでも死にきれないとはこの事を言うんだな、と思った。
…俺は、これからどうやって生きていけばいいのか…
「…ふじがや…」
あの瞬間に手を掴んで止めてきた人物の名を俺は無意識に呼んでた。
.
正直、生きるのが嫌になった。
明確な理由は何も無い。
かと言って生きたい意味も見つからない。
毎晩そんな事を考えては鬱になり病んでくる…そんな自分が嫌だった。
毎年恒例のコンサート。
東京公演の最終日。ライブDVDの収録日。
…これさえ終わればもう楽になっていいだろうか。
きっとこれが俺の最後の作品になるんだろうな、と何処かで思いながらステージに立った。
もしかしたら俺のせいで販売が中止になったら申し訳ねぇな、と若干思ったり。
終わった後各々カメラに向かってコメントをしてく中、
最後の言葉として丁寧にコメントを残した後足早にシャワー室に向かう。
見つかったら面倒だ。
かと言って汗だくのままで運ばれるのも申し訳ないし…と思って
最後のシャワーを浴びる。
蛇口を捻ればジャーッと勢いよく流れるお湯。
それと共に流れていく体の汚れ。
一緒にもやもやも流れてってくれりゃあいいのに。
キュッ、と蛇口を閉め身体を拭き、服を着て髪を乾かして…
剃刀を取り出した。
思い返すと色々あったな、俺の人生。
普通の人に比べりゃ随分と濃い人生を歩ませて貰ったのに
こうやって自ら終わりにするなんて…なんて酷なんだろう。
「…ありがとう。」
誰に向けたかも分からない言葉を口にして、
ソッと剃刀を宛がった。
…その時、お前は入ってきたんだ。
俺がシャワー室に向かうのを見てた筈で、
普段だったら中にいるのが俺だって分かってたら絶対に近寄って来ないのに。
…なのに、この時だけは不思議とお前は入ってきて…俺を見つけたんだ。
なあ…お前は俺を救ってくれたの…?
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作者名:美結 | 作成日時:2019年5月23日 23時