君の名前を呼べない【赤司征十郎】

25 PM 7:25　夢主side ページ35

今日は金曜日。
明日から2連休だ。

相変わらずバスケ部の出禁が解けない私は
部活に行ける筈もなく。
久しぶりに暇をもて余していた。

どうしよう…土日。
来週は文化祭だから良いんだけど…。
何もすることがない。

勉強？…今はする気になれないし

バイト？…短期であるかな？

部活…は見れないし…うーん、、

ふとコルクボードに視線を移すと
そこには懐かしいメンツが
笑顔で笑っていて。

私は無意識にその写真をなぞっていた。


あの頃は楽しかった…。
みんなキラキラしてて。
バスケ大好きって。
みんな、がむしゃらに、心をひとつにして
バスケをしてた。

でも……。

指が止まる。

…青峰くんの才能が開花してから
みんな変わってしまった。

青峰くん
緑間くん
紫原くん
黄瀬くん
黒子くん

そして、赤司くん。

みんな変わってしまった。


見ていて辛かった。


チームがチームじゃなくなって。

青峰くんとか全然練習に来なくなって。

さつきちゃんが悲しんでいて…。

…できるならもう一度。
もう一度帝光のみんなでバスケを
しているところが見たい。

みんなで協力して
バスケをしているところが見たい。

…見れるのかな？

…あと25日しか残されてないのに。

…見れるかな？


…みんな元気かな。

…会いたいな。みんなに…。

そこまで考えて私は思い付いた。


みんなに会いに行こう。


喋れなくたっていい。みんなの姿が
見れたらそれだけで。


そうと決まればメールを開いた私。


虹村先輩にも会いたいけど…
アメリカにいるから無理か…。

せめて国内だよな…。

紫原くんは…秋田。

何時間かかるんだろう？

でも、一番に会うなら紫原くんからだよね。

そう思って私は1人1人に
メールを打っていった。


『えーっと、こんばんは…明日明後日で会いたいんですけど、会えませんか？…と。』


そんな内容を打っては送信、
打っては送信を繰返し、最後の1人で
指が止まった。


『…灰崎くん。』


かつて、キセキの世代と呼ばれた
灰崎くん。

途中で退部してしまったけれど
彼も帝光中バスケ部のメンバーだった。

『…また悪いことしてるのかな？』

トラブルメーカー。
そんな可愛らしくはないけれど
帝光バスケ部に迷惑をかけ続けていた
灰崎くん。

だけど、私は彼のこともちゃんと
仲間だと思っていた。

『返ってくるか分かんないけれど送ってみよう。』

私は宛先に彼の名前を入れると
メールを打ち始めた。

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