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29 PM 4:25 ページ20

キュキュッ…キュッ…
体育館から聞こえる、靴底が擦れる音。

ダンダン…
ボールが跳ねる音。

いつもならホワイトボードに
練習メニューを書いたり、スポドリを
つくっているこの時間。

だけどもう――


私は、体育館に入ることを許されない。


私は入り口の近くで体育座り
それらの音に耳を傾けていた。

――もしかしたら
これで良かったのかもしれない。

この1ヶ月でみんなから嫌われちゃえば
私が消えても、みんなが
悲しむことはないから。

だって、無理だもん。
見つけてもらうことなんて。
私が話せない限り、
見つけてもらうことなんて
無理に決まってる。

だから、これで良かったんだ。

これで――「Aちゃん?」


名前を呼ばれてそこに
誰かがいることに気づいた。
そして、その声は私の知ってる人。
あれ?まだ部活行ってなかったの?

『…実渕先輩。』

実渕先輩はこんなところにいる
私を驚いた表情で見ると

「ビックリするじゃない。そんなところにいたら。ほら、入んなさいよ!」

と笑顔で促した。

けれど私は――

『…私、バスケ部出禁なんで。』

すると、目を見開いた先輩。

「…本当なのね。」

と呟いたのを聞き逃さなかった。

ああ、やっぱりみんな知ってるんだ。

私がマネージャークビになったこと。

『…聞いたんですね。全部。』

「ええ。でも、何でそんなに征ちゃんの名前を呼ぶのを拒むのよ?」

『それは………』

「……理由、言えないの?」

私はただ頷くことしかできなかった。
そんな私を悲しみを含んだ目で見る先輩。

お願いだからそんな目で見ないでよ。先輩…

『先輩も、聞いてるんなら私に話しかけちゃダメです。怒られますよ……あ……主将に。』

やっとの思いでそう言った言葉は
とても素っ気なくて。

赤司くんに。
そう言いそうになったけれど
喉がチクリとしたから言い直した。

「…何なのよ。喧嘩でもしたの?」

『……。』

「ねぇ、Aちゃん――「遅いぞ。玲央。」」

実渕先輩を呼んだ人を
私はすぐに見れなかった。

近づく足音。

そして、

「征ちゃん…。」

今、会いたくなかった彼の名前。

「A、僕は君にバスケ部には近づくなと言った筈だ。やるべきことは分かってるよな?」

もう、嫌だよ。

「ちょっと征ちゃん、それはあまりにも――『いいんです。先輩。』」

私は先輩をなだめると

『もう、ここには来ないから。』

と彼の目を見ていった。


また心臓がえぐられるような痛みを覚えた。

29 PM 8:54→←29 PM 2 :32



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設定タグ:赤司征十郎 , 黒子のバスケ   
作品ジャンル:アニメ
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アル(プロフ) - マナさん» マナさん温かいコメント本当にありがとうございます。お返事遅くなってしまって申し訳ないです…とても褒めてくださり、本当に本当に嬉しいく思っています!ありがとうございます!また続編の方も更新しましたので見ていただけると幸いです。。。 (2018年12月24日 0時) (レス) id: be6ab72684 (このIDを非表示/違反報告)
マナ(プロフ) - はじめましてマナと申します。設定が面白くて一気読みしてしまったので、普段はコメントしない派なのですがお邪魔してしまいました。本当に発想力をわけていただきたいくらいです(笑)続編も読ませていただきますね。他作品も更新頑張ってください。応援してます! (2018年11月1日 23時) (レス) id: 4d017985c7 (このIDを非表示/違反報告)
アル(プロフ) - ホノボーノさん» ホノボーノさんご指摘本当にありがとうございました!言われるまで全然気づきませんでした。ごめんなさい。即修正しましたので赤司くんの名前を呼んでいるところはないと思います。本当にありがとうございます。以後気を付けます…。 (2018年4月24日 12時) (レス) id: 4bb3709ca5 (このIDを非表示/違反報告)
ホノボーノ - 赤司とよんでわいけないところで赤司と呼んでいましたよ。 (2018年4月23日 23時) (レス) id: d691122adb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アル | 作成日時:2018年3月23日 14時

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