ただのお手伝いですので【時透無一郎】

お話 ページ19

*




竈門くん達とは別れて、ひとまず台所に向かうことにした。

きっと私はまだまだここにいることになるだろうし、一気に全部の人に食べたいものを聞いても、応えられないからね。

だから、とりあえず今ある材料だけ確認…と思ったけど。

私の想像よりも、ここにはたくさん食料があった。ううん、これだけあれば、買い出しに行く必要はなさそうだな。

そう思ってまた廊下に出た。ああ、今度こそ暇になっちゃったなあ。することないや…

あ、そこの庭に立って蝶と戯れているのは…カナヲ、ちゃん？


「カナヲちゃん！久しぶりです、元気でした？」

「あ、Aさんこそ…お久しぶりです、私は元気です」

「そうですか、良かった。……そういえば、ここにいる人たちは、先日の…那谷蜘蛛山？の十二鬼月の率いる鬼と戦った人達が多いと聞きましたが…誰か、気になる人はいませんでしたか？」

「……気になる？」

「強いとか、カッコいいとか……とにかく、もっと知りたいなあと思うような人」

「……」

黙り込んでしまった。まだ早かったかな。カナヲちゃんは、自分で自分の気持ちを知らない間に押し殺してしまっているから…誰か気になる人でも出来たら、変わるのかなとも思ったけど。


「ごめんなさい、変な事を聞いてしまいましたね。では、また後で」

「……」

にっこり微笑んでくれた。かわいい。


もう一度、あの部屋に戻ろう。
あの怪我の治り具合だと、もうそろそろ機能回復訓練に入るだろうし…そうなったら、疲れちゃって中々お話する時間は取れないだろうし。


「あっっっAちゃん！また来てくれたの！！？幸せ、俺今寿命迎えても良い〜♡」

「ごめんなさい。…竈門くん、体の調子はどうですか？」

「あ、はい！割と治ってきてて…早く刀を握りたいと思えるくらいだよ」

「そうですか、良かったです。……機能回復訓練では、中々大変なことをやるそうですよ。頑張ってくださいね」

「ありがとう！出来るだけすぐに任務に戻れるよう、頑張るよ！」



「Aちゃん、俺も、俺も励ましてくれて良いんだよ〜♡」

「我妻くんは、まず薬を飲むことから…って、まだ飲んでなかったんですか？」

「だ、だって、この薬すっごい苦くてね」

「言い訳はダメですよ。ちゃんと飲まないと、治るものも治りませんから」

「うう、Aちゃんが言うなら…」



「何故私が言っても飲まないのに、Aさんに言われた瞬間飲むんですか！！」




*

同じくらいの年かと→←大変

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す