【ハイキュー】やきもち排球男子

天童＊恋人の話 ページ35

·


・天童覚のやきもち
・リクエストはすいか様、真様より

……………



私の恋人の話をしよう

彼女の私が言うのも何だけど、彼は変な人だ

部活はバレー部、背番号は５番でポジションはミドルブロッカー、チームのムードメーカーといえば聞こえは良いけど

語尾にゲスを付けて話したり、急に必殺技を考え出したり、とにかく突拍子のない変な人なのだ



「Aチャンさー」

「んー？」

「今失礼なこと考えてるでしょ」

「おー、よく分かったねー」



体はでかいし、髪は逆立ってるし、何考えてるかよく分かんない感じもするし、正直出会ってすぐの頃はちょっと怖かった

そんな彼が今や私の彼氏である

どうやって恋人同士になったのか、自分でもよく分かってなくて、もはや私の人生の七不思議の一つだ



「さすがゲス・モンスター」

「ちっとも全然全く断じて嬉しくないヨ」



彼の名前は天童覚

今は私を抱き締めることに勤しんでいる

天童の膝の間、三角座りする私、それを後ろから長い腕で閉じ込めるように抱き着いてくる天童

大きな天童の体の陰に、私は見事すっぽり収まってることだろう



「天童、何か今日静かだね」

「そう思う？」

「そんなにさっきの傷付いた？」

「まーそれはそうだね！」



密着してるから、天童がケタケタ笑う声が、すぐ耳もとで聞こえて直接鼓膜を揺らす

その声を聞きながらちらっと目をやったら、天童の笑う横顔が見えた



「ねー知ってた？」

「ん？」

「私だって天童の考えてること分かるんだよ」



正確には、最近分かるようになってきた、だけどまあ嘘は言ってないから良しとする

もう一度こっそり天童を見たら、きょとんとした顔になっていた

かわいく見えてしまうから恋とは厄介なものである



「誰かにやきもち妬いてるんでしょ」



誰かが、恋人同士は似るものだと言っていた

なら、天童の彼女である私の、彼女の勘とやらが天童に似て冴え渡ってもおかしくはないだろう

ゲス・モンスターっていうのは、天童の、誇り高き立派な肩書きなのだ



「分かってんならどうにかしてくんない？」

「お、当たりか！」

「…………」

「へへ、今の私、120点！ なんちゃって」



わざとらしく呆れたように溜め息を吐く天童

でも私はそんな天童の彼女だから、天童の良いところもすごいところも、本当はたくさん言える

けど聞かれても言いたくはないかな、私だけの秘密にしてたいから




「ほんっと、Aチャンはずるいよネ」




·

川西＊可愛いところ→←角名＊君にだけ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す