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「だざい、さん」

「……なーんてね」



え、と声を漏らした時には

太宰さんの手はもう離れていて、余韻のような鼓動が頭に響いていた



「軽い男だと思われたくないからね、我慢するよ」



なかなか息の仕方が思い出せなくて



「あ、本気なのは本当だけど」



私が固まってる隙に、太宰さんはまた、私のお弁当をつまみ食いする

今度は卵焼きを、やっぱり美味しそうに食べた



「んー、私は甘くない方が好きだな」



とか云って、一丁前に味にケチを付けるくせに、なら何でそんな美味しそうに食べるんですか



「好きな人の手料理だからだよ」

「へ」

「声に出てる」

「へ!!!」



今更口もとを手で覆っても遅い

見れば、太宰さんがそれはもうにやにやと、実に良い顔をしてらっしゃった

もう、そんなに私の真っ赤な顔が面白いか



「だ、太宰さん、お昼ご飯は」

「あんまりお腹空かないのだよね」

「でもさっきから私のお弁当ぱくぱくと」

「だからそれは、好きな人の」

「あー判りましたよもう!」



話題を逸らしてみても、失敗

それどころか私の顔が赤みを増しただけで、これじゃまるで返り討ちじゃないか



「照れてる顔、もっと見せて」



太宰さんの、その余裕を持て余した感じが憎たらしくて、睨みを効かせて強く見上げる

だっておかしいでしょう

仮にも、私が貴方に好かれてる立場の筈なのに



「もう私拗ねました」

「えっ」

「拗ねましたから」

「……ふふ」



いつかの太宰さんみたく膨れっ面を披露すれば、宥めるように撫でられる私の頭

大切なものに触れるような、優しい、優しい、手つき

その手の平の心地好さを感じて、信じるしかないみたいだと、胸が訴えた



「……だ、太宰さんのお気持ちは判りました」

「やっと意識してくれたねえ」

「でも私は」

「うん、判ってる」



" 私に夢中にさせてみせるから、覚悟し給え "

果たしてもこれも計算のうちなのか

こういう時だけ真面目な顔になるだとか、そんな不意打ちはずるいだろう



「……私、もう戻ります」



立ち上がって、放り投げた一言



「え、お弁当残ってるよ?」

「後は太宰さんが食べて下さい」

「くれるの?」

「ちゃんと食べなきゃだめです」



本当は心配半分、二人揃って社に戻る恥ずかしさ半分なのだけど

どこか嬉しそうな太宰さんを見ると、何だか不思議な満足感が芽生えた



「じゃあ明日は蟹弁当が良いなあ」

「無理です!」



___かもしれない



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カズハ(プロフ) - 太宰さんの言葉選びが最高すぎてキュンキュンしました!!ありがとうございます!! (8月7日 3時) (レス) @page50 id: a9129a72cb (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すみません。「 やきもち日和」のパスワードは何ですか? (2018年6月8日 0時) (レス) id: bcda3478dd (このIDを非表示/違反報告)
神羅°(閲覧専用)(プロフ) - 最高です!!太宰さんがかっこよすぎてキュンキュンしちゃいました(歓喜)ありがとうございますw (2018年3月18日 1時) (レス) id: 7fad23618c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 太宰さんかっこよすぎて、キュンが止まりませんでした!完結おめでとうございます! (2018年3月4日 1時) (レス) id: fe3c394919 (このIDを非表示/違反報告)
サッピー(プロフ) - この話最高でした!もう一途な太宰さん最高!ついつい顔がにやけてしまいました!完結おめでとうございます!! (2018年2月16日 12時) (レス) id: d2c3ca49e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:どんぐり | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月16日 17時

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