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" 私お酒強いのだよ "

そう豪語したのはどこの誰だっただろうか

目の前でゆるゆる微笑んで、ふわふわ頬杖を突く彼だったと思うのだけど



「……太宰さん、酔ってますよね?」

「好きだよ、Aちゃん」

「酔ってますよね?」

「君だけは誰にも譲れないなあ」



強い筈がどうやら私より酔ってるし、溜め息の一つくらい吐きたいのに、ズレた返答がいちいち私の心臓をうるさくして敵わない

もう一度見てみても、やっぱり酔っていて

閉店の間際、そんな彼とアパートまでの帰り道を共にする覚悟と準備のために

冷たい水を一杯飲み干してから店を出た







「私もう疲れちゃったー」



思いの外、太宰さんの足取りはしっかりしていて、でもだからって油断してもいられなかった

唐突に重くなった体、背中にのしかかる体温

後ろから、太宰さんがもたれかかってくる



「わ、ちょ、歩きづらいです!」

「ふふ、Aちゃん温かーい」

「それは……!」



それは太宰さんの所為だ

好きな人にこんな風に心を許されて、少しの距離もなくくっつき合ったりして、そんなの誰も体温が上がらない筈ない

こんな状況での一歩一歩は、なかなか進まなくて道のりが遠いのに、景色に現れた私達のアパートは早過ぎる気がして



「あれー、私の部屋って、Aちゃんの右隣だっけ? 左隣だっけ?」



この様子だと、太宰さんがちゃんと部屋に入るまで見届けなきゃならないだろうか

苦笑いを零しつつ、太宰さんとまたこう出来ている嬉しさを噛み締めて、アパートの階段を上った



「Aちゃん、帰っちゃうの?」



太宰さんは右隣です、と

仕方なく手を引いて教えたら、ぴた、と動きを止めた彼は隣の扉へ移る私を、縋るように見つめて



「……隣に居ます」

「嘘吐き、壁を挟んで、姿も見えなくて、これのどこが隣なんだい」



今度は彼が私の手を引く



「ねえ、少しだけで良いから」



もう絶対、この太宰さんはお酒の所為

そんな寂しくて凍えそうな目をしないで、手を握り返してしまう、首を縦に振ってしまうから

太宰さんに導かれて、私は自分のより一つ右の扉を共にくぐった

___くぐり終えて、瞬きをしたら




「私、あれくらいじゃ酔わないよ?」




酔ってたのはどっちだ

反転した視界、埋め尽くす太宰さんの顔

背景は天井で私の後ろは床で、壁は高くて




「莫迦だね、Aちゃんは」




____あれ、何も判らない



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カズハ(プロフ) - 太宰さんの言葉選びが最高すぎてキュンキュンしました!!ありがとうございます!! (8月7日 3時) (レス) @page50 id: a9129a72cb (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すみません。「 やきもち日和」のパスワードは何ですか? (2018年6月8日 0時) (レス) id: bcda3478dd (このIDを非表示/違反報告)
神羅°(閲覧専用)(プロフ) - 最高です!!太宰さんがかっこよすぎてキュンキュンしちゃいました(歓喜)ありがとうございますw (2018年3月18日 1時) (レス) id: 7fad23618c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 太宰さんかっこよすぎて、キュンが止まりませんでした!完結おめでとうございます! (2018年3月4日 1時) (レス) id: fe3c394919 (このIDを非表示/違反報告)
サッピー(プロフ) - この話最高でした!もう一途な太宰さん最高!ついつい顔がにやけてしまいました!完結おめでとうございます!! (2018年2月16日 12時) (レス) id: d2c3ca49e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:どんぐり | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月16日 17時

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