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無性に眠っていたかった

そうすれば、何も考えなくて済むから

生来、私は人に弱った所を見せることに、殊更得意でなかった


___ " 休んでて良いですよ "

いつになく寝起きの悪い私に、君が云い渡したのはたったそれだけだ


何も聞かない君は心地が好かった

この子を絶対に手放したくないと思った

まだ私のものに出来てもいないのに、そんな思いが胸を埋め尽くすのだから笑えてくる




「Aちゃんが行くなら私も行く」




一時だって離れたくないのだよ、君と

とりわけ今日は仕方がない

ずっと私の見えるところに居て欲しくて、Aちゃんにくっつくようにして出社した








「あ、えっ、太宰さん」



Aちゃんの手から書類の山を奪い去る

君の手には重たいだろうそれを、せっせと運ぶのに必死だった君は、私を見ると小さく驚いた



「資料室に運ぶの?」

「……はい」



今日のAちゃんの仕事は、どうやら一日資料室の整理にみまわれるらしい

資料室には、整理待ちの書類たちの行列があった

私も手伝う、なんて、少しでもそばに居るための口実を作ってAちゃんと資料室に籠ることにした

そんな二人の世界で、私は君に打ち明ける




「覚えてるかい? いつか私が、咖哩好きの友人の話をしたこと……私にはかつて彼ともう一人、友人が居てね」




Aちゃんが私をそっと見るけれど、私は作業の手を止めはしない

きっと改まって話すより、こうして作業の傍らに話した方が、私も君も気が楽だから




「たまに、どうしようもなく寂しい、そんな時はどうしたら良いのだろうね」

「……太宰さんはどうしたいですか?」




話の最後に、溜め息のような笑いを零して云うと

ずっと相槌だけだったAちゃんが、控え目に口を開いて私に投げ掛けた質問は

答えなんて考えるまでもなかった




「私は、Aちゃんを抱き締めたい」




良いですよ、と君が微笑むから、手にしていた書類を置いて向き直るから

私は遠慮なんて出来なくて、この腕の中に君を閉じ込めてしまう

確かめるように、逃げてしまわないように



「私はここに居ます」

「……、有り難う」



ふと背中に回った、Aちゃんの細い腕

前は抱き締め返されなかったのに、今、私を触れる君の手は心までをも掴んでゆく

ああ、温かいなあ


甘えたい、頭を撫でて、慰めて欲しい、その声で優しく囁いて欲しい

そんなことを思うのはAちゃんだけ



___君が好きなんだ



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カズハ(プロフ) - 太宰さんの言葉選びが最高すぎてキュンキュンしました!!ありがとうございます!! (8月7日 3時) (レス) @page50 id: a9129a72cb (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すみません。「 やきもち日和」のパスワードは何ですか? (2018年6月8日 0時) (レス) id: bcda3478dd (このIDを非表示/違反報告)
神羅°(閲覧専用)(プロフ) - 最高です!!太宰さんがかっこよすぎてキュンキュンしちゃいました(歓喜)ありがとうございますw (2018年3月18日 1時) (レス) id: 7fad23618c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 太宰さんかっこよすぎて、キュンが止まりませんでした!完結おめでとうございます! (2018年3月4日 1時) (レス) id: fe3c394919 (このIDを非表示/違反報告)
サッピー(プロフ) - この話最高でした!もう一途な太宰さん最高!ついつい顔がにやけてしまいました!完結おめでとうございます!! (2018年2月16日 12時) (レス) id: d2c3ca49e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:どんぐり | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月16日 17時

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