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「それって___ 」



もしかして " やきもち " かい?

と、探るような云い草ながらも、嬉しいのを隠すつもりのなさそうな太宰さんの声が降ってきて

そろーっと目を、いや、腰掛ける事務椅子を回して体ごと逸らした

もしかしなくてもこれは、やきもちだ

口には出さなくても、肯定してるとしか云いようのない私の態度に、太宰さんは満足そうに笑った



「成る程、Aちゃんはこんな風に妬くんだね」

「……どんな風ですか」

「すごく判りやすくて可愛いよ」

「か、可愛くなんか」



ない、と更に体を背けようとしたはずが

事務椅子が勝手に回って、勝手に太宰さんの方を向いて止まってしまう

吃驚して見開いた目は、太宰さんの細められた目とこんにちは

ばっちり顔を見られてしまった

もはや茹でたこ顔負けに、熱く赤いであろう顔を




「可愛いよ、Aちゃん、すっごく可愛い」




動かない事務椅子

うんともすんとも動かない

背もたれにそっと置かれただけに見える、太宰さんの右手の所為だろうか

盗み見た指先一つとっても、太宰さんは綺麗で

このまま、面と向かって甘々な台詞なんて吐かれ続けたら、私はもう



「だーめ、顔逸らしちゃ」

「だ、だざいさん……!」



ああ、どうなってしまうんだろう私

きっともうバレてしまった、顔が熱いことも、体温が急上昇してることも

私の顔に添えられた、太宰さんの左手から

ならせめて



「目も逸らしちゃだめだよ」



と思い図ったことは全て筒抜けらしい

交差したままの視線

見上げた太宰さんの笑みが緩やかに妖しさを増すのに比例するかの如く涙腺が緩んだ

原理も理屈も判らないけど、太宰さんが私に落とす視線を見つめ返すだけで、心做しか泣きそうになる



「嫉妬する女なんて、面倒くさいでしょう?」



頼りない声帯が、やっと絞り出した一言



「そう? 私は嫉妬されたいけれど」

「嘘です、そんなの」

「もちろんAちゃんにならの話だよ」



対する返事は爆弾並みの威力で

しかも首を傾げるオプション付き



「太宰さん、あの」

「ねえAちゃん」



心臓が爆死してしまうのが時間の問題な気がして、呼び掛けた太宰さんの名前

けれど太宰さんの艶っぽい声に遮られて、次に落とされたのは、爆弾どころか核兵器級の一言だった






「キスして良い?」






.

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カズハ(プロフ) - 太宰さんの言葉選びが最高すぎてキュンキュンしました!!ありがとうございます!! (8月7日 3時) (レス) @page50 id: a9129a72cb (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すみません。「 やきもち日和」のパスワードは何ですか? (2018年6月8日 0時) (レス) id: bcda3478dd (このIDを非表示/違反報告)
神羅°(閲覧専用)(プロフ) - 最高です!!太宰さんがかっこよすぎてキュンキュンしちゃいました(歓喜)ありがとうございますw (2018年3月18日 1時) (レス) id: 7fad23618c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 太宰さんかっこよすぎて、キュンが止まりませんでした!完結おめでとうございます! (2018年3月4日 1時) (レス) id: fe3c394919 (このIDを非表示/違反報告)
サッピー(プロフ) - この話最高でした!もう一途な太宰さん最高!ついつい顔がにやけてしまいました!完結おめでとうございます!! (2018年2月16日 12時) (レス) id: d2c3ca49e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:どんぐり | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月16日 17時

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