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ゆっくり、そおっと

流れるような手つきを心掛けて、こっそり抱き締めた君の体は、やっと状況を理解したらしい

驚きに一瞬その肩が揺れて、ちらりと盗み見た可愛らしい耳は赤らんでいて



「前にも一度、抱き締めたことがあっただろう」

「あ、あ、あれは! 布団の中、だったから…!」



しどろもどろな声が聞こえる

こんな反応を示されると、僅かな期待と喜びが胸を()ぎる__少しは意識してくれるようになったのだろうか、なんて

すっぽり私の腕の中に収まってしまう小さな君に、甘えるように擦り寄った



「君が事務員さん同士でばかり話しているから、
ずっと近づく機会を伺ってたのだよ」

「……本当、に?」

「やっと近づけた」



近づけたどころではない

今この瞬間、君との距離はゼロに等しい

柔らかな君の香りで満たされて、服越しにお互いの体温が伝わり合って

しかも君が嫌がらないのだから口角が緩む

後は、君が両手を私の背中に回してくれれば、文句なしなんだけどなあ



「……いつまでこうしてるつもりですか」

「君が許す限り?」

「…………」

「あ、やっぱり嘘」




___ " 私が満足するまで離さない "










「はあ……」



だらしなく項垂れるは布団の中にて

今日また一つ学んだのは、太宰さんが満足する時は訪れない、ということだ

あの後、どうしたら良いのか判らず、太宰さんに抱き枕にされる時間を過ごしたのだけど

過ごしても過ごしても、離れてくれる気を一向に見せなかった太宰さん

結局、耐え切れなくなった私が、何とかご自宅に追い返したのだった



「…………」



被っているタオルケットの、ほんのりとした温もりが体に触れる度に

____太宰さんとは違う

なんて当たり前のことを、頭に浮かべては比べてしまう莫迦は私で



二つともちょうど真上を指す時計の針

明かりがなくてもそれが見えるくらいには、夜闇に慣れた目が冴えていた



「…………眠れない」



明日も太宰さんを起こさなくちゃいけない

これはもはや、毎日私に課せられる任務であり、国木田さんの威圧と云う名の期待を背負っている

頭を冷やそう、気を紛らわそう

思い付きで風の流れるベランダに出た私は、即行で後悔することになる



「眠れないの?」

「だ、太宰さん」

「奇遇だね、私もさ」



隣のベランダに、元凶が酒を片手に佇んでいた




「ちょっと付き合ってよ」




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カズハ(プロフ) - 太宰さんの言葉選びが最高すぎてキュンキュンしました!!ありがとうございます!! (8月7日 3時) (レス) @page50 id: a9129a72cb (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すみません。「 やきもち日和」のパスワードは何ですか? (2018年6月8日 0時) (レス) id: bcda3478dd (このIDを非表示/違反報告)
神羅°(閲覧専用)(プロフ) - 最高です!!太宰さんがかっこよすぎてキュンキュンしちゃいました(歓喜)ありがとうございますw (2018年3月18日 1時) (レス) id: 7fad23618c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 太宰さんかっこよすぎて、キュンが止まりませんでした!完結おめでとうございます! (2018年3月4日 1時) (レス) id: fe3c394919 (このIDを非表示/違反報告)
サッピー(プロフ) - この話最高でした!もう一途な太宰さん最高!ついつい顔がにやけてしまいました!完結おめでとうございます!! (2018年2月16日 12時) (レス) id: d2c3ca49e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:どんぐり | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月16日 17時

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