【文スト】となりの太宰さん

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自分の今着てる服を見て、思わず口があんぐり開きそうになるのを堪える

どうして私は、着替えると云う行為をすっ飛ばして今の今まで忘れてたんだろう

寝ぼけるにも程があるでしょ、私の莫迦




「無防備なのは、私じゃなくて君の方だろう」




そしてその寝坊助な頭は、厄介なお隣さんによって一瞬で覚醒させられる

布団の中で抱き締められて、やたら近い距離にある太宰さんの顔

まだ眠たいのか、とろんとした表情だった



「あ、や、これは！」

「これは？」



けれど寝起きでも、いつものあの悪戯っ子のような笑みは健在で

太宰さんは焦る私を見て、朝から良いものを見れたとか何とか独り言を呟いていた



「お、お隣さんのお部屋に、ちょっと行くだけだから、別に良いかなって！」



やんわりと言葉を濁すけど、太宰さんは話を終わらせてはくれない



「寝巻きの女の子を見て、色々考えてしまうお隣さんも居るのだよ？」

「い、色々って」

「色々は、色々さ」



そんなの、私には判らない

でも、そう云う太宰さんが妙に艶めかしくって、心臓さえも叩き起されて

一歩間違えれば心臓発作が起きそうだ

顔の良い人は、否、太宰さんという人は、本当に恐ろしい



「だ、太宰さん、と、取り敢えず起きましょう？」

「えー、後五分」

「だめです！」

「じゃあ三分」

「諦めが悪いです」



あからさまに不機嫌になる太宰さんは、寝起きがまるで小学生のようで困る



「このままじゃ私も二度寝しちゃいますから」



昨夜はあまり眠れてないんです

そう告げると、太宰さんは不思議そうにした



「どうして？」

「……さあ」

「教えてくれたら起きようかな」

「い、今すぐ起きたら教えてあげます」



つい勢いで云ってしまった私

すると、布団がもぞもぞと動き出して

駆け引きも何もなかったけど、まさか本当に起きてしまうんだろうか

布団から体を離して座る太宰さんに、つられて私も起き上がる



「起きたよ、ほら」

「えっと、あの、その」



恥ずかしいけど嘘を吐いてもバレるだろうし、いつだって観念するのは私なのだ

この理由はきっと、太宰さんを喜ばせてしまう




「ちょ、ちょっと、太宰さんのことを考えてしまって眠れなかったんです」

「……ふうん？」




ほらね

朝日に負けず劣らずなくらい眩しい、にこにこ太宰さんのお出ましだ

結局あの後、そんな理由で眠れず終いな上、今朝は早起きした私

太宰さん、褒めるか責任取るかして下さい



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