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「もしもし、太宰さん?」

「何かな?」

「とぼけないで下さい」



ああ、また膨れっ面をして

せっかく綺麗なお顔なのに

だけどそんな表情も、可愛らしい、と思えてしまうのだから恐ろしいなあ


と、無意識に口角が緩んでいたのか、「笑って誤魔化しても駄目です、と鋭い声で云われてしまった



「夕飯食べてから、三時間経ちましたよ?」

「まだ三時間だけじゃないか」

「三時間も! です!」



こればかりは仕方ないよ、君と食卓を囲めるのが嬉しかったんだもの

君からのお誘いで、君の家で、それも君の手料理を

久し振りに食べた咖哩は酷く美味しかった



「お腹いっぱいだから動けないって云いましたよね?」

「うん、まあ」

「もう動けますよね?」

「……いいや?」

「太宰さん!」



食べ終わった皿はとっくに流し台に重ねられていて

ソファに彼女と二人、腰を下ろして、隣の彼女にもたれ掛かる

彼女はそんな私を、もどかしそうにゆらゆらと揺らした



「気が進まない」

「すぐ隣ですよ?」

「Aちゃんから離れるなんて、これ以上に気の進まないことってあるかい」



相変わらず彼女に寄りかかったまま、つらつらと本音を口に出した

すると、ほらね、可愛い彼女の可愛い照れ顔が拝見出来るのだよ

あーあ、また帰りたくない気持ちが大きくなる



「壁なんてなければ良いのに」

「壊したりしないで下さいよ?」

「それ良いね」



この場所が__君の隣が__居心地が良過ぎるからいけないんだ

君の家の隣じゃなくて、君の隣

そしていつかは、君をこの腕の中に収めてみたりもしてみたい

____はてさて、如何にして君を落とそうか












やっと、自分の家に帰ってくれた


流し台のお皿

机の上の二つのコップ

減りの早い鍋の中の咖哩


太宰さんの居た名残は至るところにあるけど、部屋は深い静けさに包まれている

そりゃそうだ、一人暮らしの女の部屋だもの

喋る相手も居ないのだし、音が無いのは普通のこと


そんな暮らしも始めてから結構長いもので、だから久し振りだった__一人静かなこの部屋を、少しでも寂しいと感じたのは




「……いや待て私!」




違う違う、違うから

別にこの寂しさを埋めるのは、太宰さんでなくたって良いんだから

太宰さんが隣に越してきてから、確かに彼との距離はぐっと近づいた、けれど

それは興味や関心であって好意ではないし

そもそも仕方なく___


____だめだ、大人しく寝よう




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カズハ(プロフ) - 太宰さんの言葉選びが最高すぎてキュンキュンしました!!ありがとうございます!! (8月7日 3時) (レス) @page50 id: a9129a72cb (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すみません。「 やきもち日和」のパスワードは何ですか? (2018年6月8日 0時) (レス) id: bcda3478dd (このIDを非表示/違反報告)
神羅°(閲覧専用)(プロフ) - 最高です!!太宰さんがかっこよすぎてキュンキュンしちゃいました(歓喜)ありがとうございますw (2018年3月18日 1時) (レス) id: 7fad23618c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 太宰さんかっこよすぎて、キュンが止まりませんでした!完結おめでとうございます! (2018年3月4日 1時) (レス) id: fe3c394919 (このIDを非表示/違反報告)
サッピー(プロフ) - この話最高でした!もう一途な太宰さん最高!ついつい顔がにやけてしまいました!完結おめでとうございます!! (2018年2月16日 12時) (レス) id: d2c3ca49e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:どんぐり | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月16日 17時

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