@ショッピングモール二階 ページ5
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太宰を追い返してから、何気なく立ち寄ったショッピングモール
そこで、俺はと或る熱心な店員に捕まっていた
「彼女さんにプレゼントなら、ハンドクリームはいかがでしょう!」
名付けて、ハンドクリーム激推し店員は、目をキラキラさせてがっちり俺に照準を合わせている
うっせえな、俺と同じ男のくせに、何が判んだよ
そう毒づいたのも束の間
「実は僕がハンドクリームを贈った女の子……今、僕のお嫁さんです」
「…………まじか」
完璧に、男の口車に乗せられる俺が居た
だってそんなこと云われたら考えちまうだろ、俺の嫁になるAとか、Aの花嫁姿とか
それに萌えるなって方が無理だっつーの
「ハンドクリームは手先のケアに必須ですし、可愛いものも良い香りのものもあって、女性受けが良いんですよ!」
確かに、変に香水やらを贈るよりも、ハンドクリームの方が手軽で良いかもしれない
って、おいおい、これじゃあ店員の思うツボだ
危ねえ完全に呑み込まれてた
と取り直した正気も、三秒後にはまた崩れ去る
「想像してみて下さい、贈ったハンドクリームが彼女さんの手から香ったら、すごくそそりませんか」
「…………、そそるな」
毎日帰宅した俺の外套を脱がす彼奴の手
その手から俺が贈った香りがするのは悪くない
そういう訳で俺は、店員の勧めるいくつかのハンドクリームを手に取ってみることにした
「う…くっせ…!」
「そちらはプレミアムローズの香りです!」
「あ、これ風呂上がりの彼奴の匂い」
「ほうほう、彼女さん、素敵な匂いをさせてらっしゃるんですね!」
「おい、嗅いでくんじゃねえよ!」
何の匂いかは知らねえが、彼奴の風呂上がりの匂いは俺だけのもんだ
アレにそそられて手を出して良いのも俺だけだ
「普段の彼奴は、もっと自然で、柔らかい匂いなんだよな」
奇妙な店員とあーだこーだ云いながら、彼奴の匂いに溶け込みそうなハンドクリームを探して、遂に見つけ出したのは
『陽だまりの香り』『優しいフローラルブーケ』
何だ彼奴、もしかしてお花畑で生まれたのか
まあ確かに彼奴、花みてえだもんな
結局どっちにするか決めきれず、店員から逃げるようにして店を出た
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留羽謝(ルーシェ)(プロフ) - 中也さんイケメンっ!!ありがとうございます!美味しかったです!!! (2018年2月8日 22時) (レス) id: 1767e80507 (このIDを非表示/違反報告)
世界のバカっこ!(プロフ) - 無事死亡。どんぐりさんほんといつもいつも私をキュン死させてしまう作品を作って……有難うございますっ!!中也さんかっこいい夢主ちゃん可愛い。最高でした(震え声) (2017年11月11日 12時) (レス) id: 391940a815 (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - プロポーズキターーー−−−−−−−−−−−−−ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!! (2017年11月3日 22時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - 中也かっこいい!つーかうぶかよ! (2017年11月3日 22時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
れんれんれれれ(プロフ) - 中也さんがかっこよくて!!中也さん目線の時はかっこよさと可愛さがあったのに夢主目線の時はただただ格好よくて………ドキドキしました!! (2017年11月3日 21時) (携帯から) (レス) id: f40e23ddec (このIDを非表示/違反報告)
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