【文スト】喜ぶ顔が見たくて

#髪飾り ページ13

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「＿＿＿A、それ、」



中也の呟きに、はにかんで返す

「似合うかな」なんて零しながら、私の髪を飾るソレにそっと手をやった

＿＿＿手に触れた青いそれは



「俺が贈ったやつ、付けてくれたんだな」



そう、中也がくれた髪飾りだ

大きく頷いてから、改めてお礼を口にする

嬉しそうな眼差しを向けてくれる中也に、私もすごく嬉しくなった



「中也がくれたんだもん、付けない訳ないよ」



ありったけの気持ちを込めた大きな笑顔で、心の底から想いを乗せた声で中也に云う

＿＿＿すると



「ヘえ、嬉しいこと云ってくれんじゃねぇか」



私の手に重ねるように、その手を髪飾りにふわりと伸ばした中也

同時に艶めかしく端正な笑みを携えて

髪飾りから髪へと移った手で、私の髪を一房、丁寧にすくい上げ＿＿＿＿


＿＿＿＿優しい優しい口付けを落とした




「……ちゅうや、」



一連の流れがいやに妖艶で、音も時も止まったような感覚、随分と永く感じた甘く蕩けそうな一瞬

名前を呼ぶことしか出来なかった私に、中也は色っぽく笑って見せて



「A、髪へのキスの意味って知ってるか？」



中也の気障な問い掛けに、私はやっとの思いで首を横に振った、かと思えば



「 " 思慕 " だよ、恋い慕う気持ちだ」



さらりとそんなことを云えてしまう中也の、様になり過ぎたその台詞と表情に、この上ないほどのときめきがもたらされる

全く、恰好良過ぎて腹が立つ

＿＿＿私も少し、少しだけ、反撃だ



「あのね、私が青が好きなのは」



すぅ、と息を吸い込んで、吐き出したのに声を乗せるようにして続きを紡いだ



「中也の綺麗な蒼い目と、同じ色、だから」

「なっ…、っておい、A」



ああ、自分から仕掛けておいて、何て恥ずかしい

耐え切れなくなった胸がぎゅうっとなって悲鳴を上げて、私は思わずそこから離れ、ようとした


「＿＿＿待てよ」なんて、わざとらしい低い声が耳を掠めるまで秒足らず


まんまと掴まれた手首から、心も体も溶けてしまいそうな熱が溢れ出して

心臓をうるさくする他、成す術もない

中也はそんな私を覗き込み、蒼い目を細めた悪戯な笑顔を浮かべて



「ンな可愛いことだけ云って、逃げるとか許さねえ」



ギュッと体を抱き寄せられた後、今度は唇へ、深い深い口付けが落とされた



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