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" 二度ある事は____ "
日常でもよく耳にする言い回しだけど、今だけはこの言葉の続きを、断固否としたい所存
「やあナカハラ君、よく来てくれたね」
今ほど痛感することは後にも先にもきっとない
「ナカハラ君はもう来ているよ」
「は、え、何でナカハラさんが!?」
首領の言葉にぎょっとしてコンマ数秒、目に入った帽子と外套のその姿
何度見てもナカハラさんはそこに居た
「遅せぇよ」とぼそり、私にだけ聞こえるように呟く低音は間違いなくナカハラさんだ
腹が立つんで、取り敢えず全力で睨み返しておく
「___実は、君ら二人に頼み事があってね」
……ん?
そんな矢先、首領は、見るからに高級そうな椅子にゆったりと腰掛けたまま
さらっと、へらっと、おっしゃった
…………んん?
「二人、って私とナカハラさん、ですか?」
脳内で繰り返される首領の言葉
その意味は決して難しいものではないけど、甚だ信じたくもないものだ
なんて、私の気持ちは露知らず、首領はにっこりにこにこ頷いた
「そうだよ? ナカハラ君達二人だ」
「な、何故です!?」
「それが私の導き出した最適解だからさ」
最適解、とな
首領の云う最適解なるものを、私はこれまでに呑み込めたことがない
その思考回路が秀逸過ぎるが故である
でも確かにいつも、最後には勝負を手にして笑っている首領を見てきた
でも、見てきた、とは云えども
「何がどう最適解なんですか!? 私にしてみれば最悪解なんですけど!?」
今回ばかりは、本っ当に心の底から理解し難い
ナカハラさんと会うのは今日が三度目だし
そんな少ない絡みにも関わらず、私の中でナカハラさんは天敵認定されつつあったりするし
なのに何で!?
ぎょっとする私を、首領が宥める
「まあまあ、話だけでも聞いてくれないかい」
「う……」
そんな風に下手に出られちゃ頷く他ない
云われてソファに座る
と、隣にナカハラさんも訪れたのだけど
「__誰が最悪だって?」
隙間を詰めて座られたソファ、帽子を取りがてらそっと囁かれる耳もと
小さな挑発、それは
「良い度胸じゃねぇか」
完全に、この間のデジャヴである
ほら、こういう所が天敵要素なんだ
何かと揶揄ってきて、余裕綽々で、悔しいからもうひと睨みしてやる
「うっさい莫迦」
そんな水面下のやり取りを知ってか知らずか、首領は笑みを少し崩して話し始めた
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ライム - めっちゃ最高でした!!中也かっこよすぎてつらいです!こんな最高の作品を生み出してくださってありがとうございます!!!! (2022年12月26日 17時) (レス) @page43 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
なかはらあお(プロフ) - はじめまして、作品見させていただきました。お話の構成も内容もとても素晴らしく感動しかありません、どんぐり様のこれからのご活躍心より期待しております。長文失礼致しました。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: a71351843d (このIDを非表示/違反報告)
藍音 - 凄く面白かったです!私の名字もナカハラがよかった... (2018年2月7日 0時) (レス) id: a82b5889f9 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 完結おめでとうございます!!きゅんきゅんしました…! (2018年2月1日 22時) (レス) id: c5a450a737 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - こんな時間に一気に読んでしまいました〜。眠たいのにドキドキが止まらなくて寝付けそうにありません!!(>_<) (2018年2月1日 2時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
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