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電灯が彩る晩
飛び交う笑い声と酒の匂い
今宵は二度目のパーティーナイト、ただし前とはちょっぴり違っていた
「やっぱな、思った通り、似合ってんじゃねぇか」
熱くて赤いだろう顔を、私は思いっ切り中也から逸らして目を伏せた
そう、中也の用意したドレスに身を包みながら
「……お世辞は良いってば」
私を見るなり優しい笑顔を零した彼に、この胸がやたらとうるさくて、ついぶっきらぼうな声と返事をしてしまった
自分が天邪鬼なことは、これでも自覚している
「俺は世辞なんか云わねえよ」
それを聞いてまた笑う中也のタキシード姿は、相も変わらず気品漂う王子様みたいだ
素敵過ぎる笑みで私の手を取って、心底さり気なく私の手を引いて
そのままぎゅっと私の手を握ってほら
「手前が本当に綺麗だから云ってんだろうが」
何をそんな、さも当然かのように
発された言葉は、更に私を赤く染め上げ、お陰で余計に中也の方を見れなくなった
「……あっそ」
どうせ他の
前と違った胸の鳴り方をしてるのは、多分私だけなんだろうな
パーティーが違って見えるのは、きっと、思わぬ恋の所為で盲目な私だけ
そうやって、嬉しさ反面、素直に喜んでしまえば良いものを、なかなか出来ない私が居て
「本当、中也は優しいよね」
「……は?」
「だからさ、そういうの誰にでも云ってたら、そのうち勘違いする子が出てきちゃうかもよって」
違うじゃん、その優しさに胸を高鳴らせてんのは他でもない私でしょ
勘違いしちゃいそうなのも私なくせに
こうやって捻くれなきゃ期待しかける自分を止めらんないなんて、ポンコツにも程がある
___なのに
「おいA、手前」
「何さ」
「俺が誰にでもって、本気でそう思ってんのか」
柔らかい微笑みを崩した彼の顔が、不機嫌そうに、強い意思を秘めた表情を作った
云いながら、無理やり、否応なしに目線を通わせてくる中也
もう、そんなことしたりするから
実はそれとなく中也の好みを聞き出して選んだ、私にとっては特別なこのドレスが、動揺と淡いときめきに揺れるんだ
「__おや、これはこれは」
そんな中、一人の男の影が、にこやかな振る舞いで私達の前へ現れる
「どうもご機嫌よう、中原
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ライム - めっちゃ最高でした!!中也かっこよすぎてつらいです!こんな最高の作品を生み出してくださってありがとうございます!!!! (2022年12月26日 17時) (レス) @page43 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
なかはらあお(プロフ) - はじめまして、作品見させていただきました。お話の構成も内容もとても素晴らしく感動しかありません、どんぐり様のこれからのご活躍心より期待しております。長文失礼致しました。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: a71351843d (このIDを非表示/違反報告)
藍音 - 凄く面白かったです!私の名字もナカハラがよかった... (2018年2月7日 0時) (レス) id: a82b5889f9 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 完結おめでとうございます!!きゅんきゅんしました…! (2018年2月1日 22時) (レス) id: c5a450a737 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - こんな時間に一気に読んでしまいました〜。眠たいのにドキドキが止まらなくて寝付けそうにありません!!(>_<) (2018年2月1日 2時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
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