悲しみと愛に溺れる【ハイキュー!!】短編集

田中龍之介×飛び込み ページ11

「A一緒に帰らねー？坂の下行かねー？」


『わ、ご、ごめん!!
今日塾なんだーごめん!!』


「あー、そうかー
最近忙しくないか？無理すんなよ」


じゃーなーと言って龍は帰って行った


うわー、さりげない優しさ




最近、少し成績が落ちた


全て95点以上じゃないと怒られる



“最近成績落ちてるんじゃない?Aちゃんならもっとできるよね?将来は東大に行ってもらわないと…うちの子だもんね”



そうだ、文武両道・成績上位そうじゃなきゃうちの子じゃない


もっと頑張らなきゃ


“無理すんなよ”









塾帰り、23:00だ


早く帰ろう



………??


あれ、お母さん?


あの男の人、誰?


「うちの子、成績上位で文武両道、いい看板でしょ(笑)」


看板??


あれ?


私、何のために頑張ってんだろ


ていうか、何のために生きてんだろ


あれ、





フラフラして橋に寄りかかる


下を見ると昨日の雨で増水したのか、川が氾濫していた


もう意識が朦朧として前のめりになる



「A!!」



ｶﾞｼｯと掴まれて引き戻される



斜め上を見上げると龍の顔があった


『りゅ、ぅ…?』


「何回呼んでも気づかねーしよ、そのうち落ちようとするしよ」



『りゅ、う……私って、何?』


「は?」


『私って何なんだろうね、もう分かんないよ……何で私ここにいるの…?』


「何でってそりゃお前、俺の癒しだからじゃねーの?」


『ぇ…?』


「いつでも俺のそばにいて、部活で疲れた時もお前が笑ってくれれば吹っ飛んで」


「龍、お疲れ♪の一言で救われたり?どんなに苦しい試合でもお前の応援があれば俺は……!!」





「みたいな?」



思わず笑ってしまう


『なにそれ(笑)』



「えー?!じゃあAなんのために俺といたんだよ?!」



『……何でだろうね』



そりゃないぜーとか言ってまだ騒いでる



それはね、





(好きだからじゃない?)



『龍、ありがと』



「何がだよ、




……帰るぞ」



「(俺がついてる)」

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