たとえ、俺の姿が変わっても。【及川徹】 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:386 hit

4 ページ5

「ってなわけでよろしくねー」

美梨ちゃんの部屋に案内された俺。

「りんご、あげよう」

りんごを2個、ポーンと放る美梨ちゃん。不器用な彼女が投げると、両方とも違う方向に飛んだので、慌てて両方キャッチする。

「お、すごいじゃん」

頭をナデナデされる。あ、コレ癒しかも…
てか、俺、彼女の1.5倍くらいでかいのに。

「さっきも言ったけど、私は皇美梨。アンタは？」

及川徹…聞こえないんだろうけど。

「ツクルでいい？テレビに出てきたイケメン俳優の名前と同じ」

複雑な気分だ。

「私のことは美梨でいーよ、ツクル」

美梨ちゃんと同じ部屋で暮らし始めた俺…

「聞いてよ、マヒロ！及川の野郎に告られた…まただよ、また！」

美梨は、ソファに座っていた俺に愚痴ってきた。ちなみに、ツクル呼びに飽きてマヒロと呼ばれている。

「アイツ…ウザさと感じの悪さに加えて意地の悪さといじめの技術を身につけてきやがった。急にやりづらくなったよ」

美梨ちゃんの勘はあながち間違ってない。だってあれは俺じゃないから。美梨ちゃん…君が、俺に気づいてくれたらどれほど嬉しいか。そんな日はこないと、分かっているのに。