毒舌度４９８％ ページ12
――…
ずっとスマホを弄っていたが、ふと画面が上手く動かせなくなる事に気付いた。
もう十二月で、五時を回っていて。日が短い冬はあっという間に暗くなる。
そりゃあこんな寒空の下でスマホ弄ってたら悴むよな。と一人納得してからスマホと共に手をポケットに突っ込んだ。
「……さむっ」
意識したら急に寒くなった。もう三十分近くこうして待ってれば当たり前だったかもしれないけど。
言われた通り先に帰っとくべきだったかな。でも、Aが浅野クンと一緒に帰るのなんてさせたくなかったし。朝いっつも二人で登校してる癖に。幼馴染だからしょうがないかもしれないけど。
「カルマ！」
文句と共に白い溜め息を零すとバタバタと慌ただしくAが走ってきた。遅かったね。と皮肉を言おうとした口を止める
「ごめんね、帰ってて良かったのに」
体力皆無なりに急いだのか、必死に息を整え俺を見て謝るA。その手には入る時まで身に付けていた筈のマフラーとコートが握られていた。
「寒かったよね!? 顔赤いよ！」
「ん、」
ほら。とポケットに入れてた手を出して、Aの熱篭った頬に貼り付ける。くすぐったそうに首を竦めた。
「冷たいでしょ？」
「ごめんってば。帰ろ」
「マフラー位巻いたら？」
「あっ」
忘れてたと笑ってからコートを羽織った。マフラーはいいの？ と聞くと今暑いから！ と何故か俺に渡す。
「何？」
「近くまで貸してあげる。カルマの方が寒そう」
「じゃあAが巻いてよ」
「私下手だよ？」
「A不器用だもんね」
「なんなの？？？」
まぁまぁ。と適当に宥めて身を屈めると、不満げにしながらもAは背伸びをして俺の首にマフラーを巻く。特に凝った様子もない普通の巻き方ですら少しもたついた。
「……いい？」
「頑張ったんじゃない？」
「じゃあ自分で巻けよ！」
もう！ と鼻を鳴らしてAはスタスタと先に歩いていってしまう。歩幅の違いで直ぐに追い付いた俺は、冷えたAの手を捕まえた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 360人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葵(プロフ) - あいくさん» ありがとうございます！コメントめちゃくちゃ喜ぶタイプなので嬉しいです！私もコメント躊躇う奴ですけど…笑 イラストまで嬉しいです！頑張って綺麗系目指しました笑 これからもマイペースにやらせて頂きます。 (2018年9月18日 20時) (
レス) id: eeb8e01c6f (このIDを非表示/違反報告)
あいく - 葵さんの小説、いつも読ませて頂いてます！とっても面白いです！結構前から読んでたんですけどコメントする勇気が無くて…。兵藤ちゃんのイラスト、とっても可愛いです！お姉さんっぽい感じですね！ (2018年9月18日 19時) (レス) id: fcedbe313e (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - ルラさん» ありがとうございます！1週間なんて……!更新マイペースなのですぐ追いつかれますね()これからもボチボチ更新していきたいと思います！勉強の小休憩にでもなれば幸いです！ (2018年9月10日 19時) (レス) id: eeb8e01c6f (このIDを非表示/違反報告)
ルラ - 一週間くらい前に読み始めて、あっという間にpart14まで！受験生なのに (2018年9月8日 20時) (レス) id: e6ca85b3e9 (このIDを非表示/違反報告)
ルラ - 一週間くらい前に読み始めて、あっという間にpart14まで！受験生なのに (2018年9月8日 20時) (レス) id: e6ca85b3e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葵
| 作者ホームページ：https://twitter.com/uranai_aoi/status/929368202894721025
作成日時：2016年3月15日 16時
