54話 握られた拳 ページ6
千空 side
その場にいた全員が思わず息を飲み込んだ
宙に舞う彼を遠目に
俺は何が起こったのかを察した
思えば、アイツが誰かを殴るのを見たのは
これが初めてだった
村の狂犬とさえ謳われるヤツのことだ
人を殴るのは
普通なのかもしれない
千空｢………｣
それでも、
俺がこの村に着いてすぐの時
コハクからAを攻撃していたため
あれを正当防衛だと捉えれば
俺が見ていた限りで
アイツが手を上げることは基本なかった
口は悪いし態度も最悪みたいなヤツだったが
直接危害を加えるようなことは
しなかったように思う
それが今
なんの戸惑いもなく相手を殴り飛ばしたのだ
マグマは飛んできたカーボを間一髪で避け
巻き添えを喰らうことはなかったが
真っ直ぐ飛ばされた奴は
起き上がることなく地に伏せているため
恐らく気を失っているのだろう
千空｢おい、アイツいつもそうなのか｣
近くにいたコハクに訊ねる
俺の意思を汲み取ったのか
コハクは橋の上から視線を外さずに答えた
コハク｢あぁ。普段から気性の荒い奴だが、マグマ達が絡むといつも以上に喧嘩っ早くてな。基本はマグマが怒りの中心だが、たまにあぁして周りの取り巻き達にも手を出すのだ｣
自分のことを棚に上げたような言い方に
苦笑いが溢れるが
コハクからまた橋の上へと視線を向ける
マグマは殴り飛ばされたカーボを尻目に
一瞬焦りの表情を浮かべた
そばに居る背の小さな男＿マントルというらしい＿も
体を震わせ慄いている
ソイツを一瞥してから
マグマは冷や汗の垂れる顔をニヤリと歪めてみせた
マグマ｢ふん、すぐに手を出すところ、やはりお前は狂犬だな｣
『自分のこと棚に上げといてよく言うぜ。ちっせェ脳みそン中暴力しか詰まってねェクセに』
マグマ｢ムハハハ、相変わらず口が達者な野郎だ。そんなんじゃ村の巫女様に嫌われるぞ？｣
『……あ？』
一瞬の沈黙で微妙な空気の変化に気づいたのか
マグマは少し余裕をみせるように口角を釣り上げる
マグマ｢お前とルリ、元は幼なじみだったんだろ？あとあのメスゴリラと妖術使いとか名乗ってる馬鹿な野郎も｣
『それがどうした脳筋野郎』
マグマ｢ルリの奴、かつての幼なじみがこんな男になってたなんて知ったら悲しむだろうなァ、ムハハハ｣
『………』
好き勝手言うマグマに噛み付くと思っていたが
雨で滲む視界が捉えたのは
Aの握り締められる拳だった
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雨迷(プロフ) - この作品大好きです！これからも応援してます！ (2022年5月14日 12時) (
レス) id: 78a4c6a909 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 教えて頂きありがとうございます！そういう事だったんですね…早く読めるの楽しみにしています。 (2022年5月13日 20時) (レス) id: a78013dc1d (このIDを非表示/違反報告)
脅威のセラフ@wrwrdファン(プロフ) - 桜花さん» おそらく、下書きをしてそれを非公開として保存しているのだと思いますよ♪ (2022年5月13日 20時) (レス) id: 602d714d2e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - [更新されました]ってなってて、物凄く読みたいのに見れないのってWi-Fiとかが悪いからなんですかね…。ホントいつもいつも「いつ更新されるかなー」ってとても楽しみにしているんですけど…なんか知っている事があったら教えて欲しいです。 (2022年5月13日 20時) (レス) id: a78013dc1d (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - 狂犬君が一体過去に何をしたのかめめめめちゃんこ気になる〜！！ (2022年5月2日 1時) (レス) @page9 id: 9db3f9f6b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨宮夜空 x他1人 | 作成日時：2022年4月22日 19時
