93話 迷いの果て ページ45
A side
天才科学使いの願いを盗み聞いてから数日
俺はいつも通り走り込みを続けて
いつも通りルリに葉っぱを渡した
……少し休憩の数は増えたが。
今日も例に漏れず走り込みを終え、
葉っぱを摘み取り帰路に着く
太陽は既に傾いていて
辺りは全て茜色に染まっていた
それをぼんやりと眺めながら
俺は森の中を練り歩いた
その間にも胸の痛みは
ギシギシと叫び声をあげていて
嫌でもあの夜を思い出してしまう
『クッソ……』
科学野郎の言う通りだった
数日経った今でさえ
この痛みは引くどころか激しさを増していた
時間が経てば治ると思っていたのに
一向にその兆しは見えない
"いいか。手当っつってもこの世界じゃロクに薬も出せやしねぇ。最悪悪化することもある。
そんなこの世界で、100億%合理的に治す方法は1つ、安静にすることだけだ。
分かったな？暫くはこのまま絶対安静だ"
あの説教じみた長ったらしい説明を思い出す
やけに上から目線な物言いにイラついたし
そんな大事にする必要もないと思っていたから
分かったようなフリして無視してたけど
現に今悪化してしまっている
それがどうにも
骨よりももっと奥が
痛んでいるような、気がして
最初からアイツの言うこと
聞いてりゃ良かったのか？
とも思うけれど、
今の俺に安静にしていることなんか出来ない
この痛みが、何よりも俺を掻き立てるから
ギシギシと訴えかけてくるこの痛みが
早く早くと俺を急き立てて
"もっと、もっと強くならないと"
"こんなのでいちいち倒れるな"
"お前は強くならないといけないんだろ"
安静にしてなきゃならない
もっと強くならなきゃならない
相反する2つの気持ちがぐるぐる回って
思わず叫びたくなった
『っどうすりゃいんだよ…』
俺はいつだって迷ってる
迷って、考えて、決断して
そして、いつだって間違えた
天秤にかけて
どちらかひとつしか取れないことにすらも
傷ついて、イラついて…
だって、だってそれって
どちらかは諦めなきゃなんねーじゃんか
どちらかは、拾って
どちらかは、捨てて
もしも、拾ったのが間違いだったとしても
それは自分で選んだものだから
後悔する権利さえ、ない気がして＿＿＿＿＿＿
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雨迷(プロフ) - この作品大好きです！これからも応援してます！ (2022年5月14日 12時) (
レス) id: 78a4c6a909 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 教えて頂きありがとうございます！そういう事だったんですね…早く読めるの楽しみにしています。 (2022年5月13日 20時) (レス) id: a78013dc1d (このIDを非表示/違反報告)
脅威のセラフ@wrwrdファン(プロフ) - 桜花さん» おそらく、下書きをしてそれを非公開として保存しているのだと思いますよ♪ (2022年5月13日 20時) (レス) id: 602d714d2e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - [更新されました]ってなってて、物凄く読みたいのに見れないのってWi-Fiとかが悪いからなんですかね…。ホントいつもいつも「いつ更新されるかなー」ってとても楽しみにしているんですけど…なんか知っている事があったら教えて欲しいです。 (2022年5月13日 20時) (レス) id: a78013dc1d (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - 狂犬君が一体過去に何をしたのかめめめめちゃんこ気になる〜！！ (2022年5月2日 1時) (レス) @page9 id: 9db3f9f6b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨宮夜空 x他1人 | 作成日時：2022年4月22日 19時
