＊ ページ3
.
「―――俺が何だって？」
「ああ、中也居たの、小さくて気付かなかったよ」
取口に落ちたペットボトルを拾い上げ乍ら、一つ二つ太宰幹部に云い返した中原さんが、こちらを向いた
「手前は水一つ購うのにいつ迄かかってンだよ」
『わ、冷たっ』
かちりとキャップを回して、頬に押し付けられる水
――中原さんの分だと思って小銭を入れたんだけどな
謝罪を零し乍ら、きんきんに冷えた水を喉に流し込むと一気に冷める熱
『あああ、生き返る』
もう一口、飲もうとペットボトルを傾けた所で、太宰幹部が「そうだ中也」と
「あァ？」
「君、Aちゃんの事如何思ってるの？」
『ぶっふぉ、ごほっ、だ、太宰幹部！？』
「わあ汚い」
何を云い出すのかと思えば
私が先刻彼に零した相談の事だとするならば、幾分か語弊のあり過ぎる切り出し方である
「………は？」
「いや何ねえ、君の為にAちゃんが、優秀な部下になろうと孤軍奮闘してるみたいだから」
『だっ、だざ、太宰幹部！』
お喋りな彼の口を塞ごうと、急いで駆けるとにやりと口角を上げ、「可愛いだろう？」と
私の後ろに立っている中原さんに云った、太宰幹部
途端に赤くなった顔を見られたくなくて、彼の方を振り向けないでいると
がしっと、頭を掴まれてその侭後ろに引っ張られる
「こいつは充分優秀な部下だぜ」
「そうなの？」
「あァ、なんせ俺以外の云う事は訊かねぇからな、其の所為で首領の命令にも逆らおうとする始末だ」
「へぇ、羨ましい、私に頂戴よ、Aちゃん」
にこにこと、愉しそうな太宰幹部は少々冗談が過ぎるのではなかろうか
火照る顔を冷ます為に、未だ冷たいペットボトルを頬に当てる
と、今度は中原さんの腕が緩く首に回った
「―――やらねぇよ、俺のだ」
ああもう…
『……暑い』
無意識で、水が溢れそうなくらい握り締めていたペットボトルを、するりと抜き取られて手持ち無沙汰
これ以上、火照りを加速させないでほしい
「うわ、全然冷たくねぇな」
貴方の所為です、中原さん
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1006人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柏餅 - 神すぎます！ (1月5日 7時) (
レス) @page27 id: c21f6abdfc (このIDを非表示/違反報告)
へっぽこ狸 - いつも読ませてもらっています！りくえすとなんですがよろしいでしょうか？「最高機密の恋」で夢主がモブに頭を攻撃されて気絶するというシーンがありますが、その時のフョードルさんサイドの話が読みたいです！ (2018年8月3日 17時) (レス) id: 9bbf31437e (このIDを非表示/違反報告)
futureblue�鏡�(プロフ) - 表現や言葉のセンスが本当に素敵で尊敬します!第1段から一気に読み返してしまいました｡いつも楽しみにしています｡頑張ってください!ゆっくりでも待ってます｡ (2018年7月21日 14時) (レス) id: 5dfeb6ba3e (このIDを非表示/違反報告)
5ま - ドストさんと澁澤さんのお話が欲しいです .. ！ シチュはお任せします ！ (2018年7月13日 23時) (レス) id: 698d6e01ac (このIDを非表示/違反報告)
菜畑 - 猟犬の末広さんでリクエストお願いします。夢主は探偵社員で。 (2018年7月12日 21時) (携帯から) (レス) id: 28273e2d77 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お餅
| 作成日時：2018年7月3日 10時
