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入院中は、

わたしの友達はよく 娘の顔を見に来てくれたけれど、
卓のチームメイトたちは、やっぱり面会時間なんかに時間を合わせるのが難しく、
まだまだ お披露目できていない状況だ。




今日は、ファイターズは平日ナイトゲーム。



卓も、お昼すぎには家を出なくてはならない。


朝一で病院をあとにする。
お世話になった先生や看護師さんにお礼を言うと、なんだかまた泣きそうになってしまった。



ここからオフシーズンに入るとはいえ、家を空けることが多い、卓。
産まれたばかりのはじめての我が子と、おかあさん初心者のわたし。

どうなるんだろう、やっていけるのかな。

不安もある。




でも、やっぱり楽しみだ、という気持ちが勝るのだった。







「ただいまー…はあー久しぶりのおうちーーー」


ありがたいことに、中田さんが「とりあえずは使わないから」と 譲ってくれた、ベビーベッド。
腕の中ですやすや眠る我が子を そこに寝かせてみる。なんだか感慨深い。





「ほのちゃーん。帰ってきたよー」



そう娘に話しかけながら、小さな手を ちょいちょいっとつつく卓。

…うん。やっぱりこの声、2オクターブくらいは高くなってる。




卓は、ほのかのことを、「ほのちゃん」と呼ぶ。

…これは大変だ。
日に日に親バカ度が増している気がする。

きっと、卓を知る人は(特にチームメイトなんて)、この様子見たら心底驚くんじゃないかな…という感じだ。




「手ぇ ちっちゃ…」



うん、これも100万回くらい聞いた!

…でも、わたしもそれに負けないくらいは同じこと言ってる気がする。
中島家、親バカ度がすごい。
家では良いけど、これを外で出してしまわないように気をつけなければ、と思う。




「あー…やだわ」
「やだ?何が」


「これから試合、やだ…行きたくない」

「ええ〜!卓ちゃんが駄々こねてる!」

「いやだってさもう…こんなの置いて行くのほんっと…ちょっとほんと無理やわ…」



わたしの知っている中島卓也じゃない!(!)


試合やだ、行きたくない、なんて言い始める彼を見るのは初めてだ。
新生児って、…いや、我が子って、ここまで人を変えるものなのね…パワーがすごいな。なんて。


「おとうさーん、頑張って!はい、いってらっしゃい!」

「ハァー…行ってきます」

「頑張れ頑張れ〜」

「ほのちゃん、行ってくるけんね」






…そんな感じで、

卓ちゃんも、娘一筋の、お父さんになりました。






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作者名:まいち | 作成日時:2017年9月15日 3時

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