第251話ですよー ページ22
往来で騒がしくしている神楽ちゃんとぱっつぁん、晴太なるガキを眺めながらお菓子を一口。変な物が目に入ってざわつく心を、甘味が宥めてくれる。
「で、その腕はどうしたの。どぎついプレイでもした?」
『ただの職務中の怪我ですよ。万事屋こそ、吉原であんなに歓迎されているなんて。上客にでもなったんですか?』
気になるのも仕方がない。私だってこんな大々的に骨が折れたのは初めてだし。だが万事屋も万事屋だ。特にお店の子から感謝されているようで、未成年三人が一緒に遊んでいる。
「上玉のコブのお守りしただけだっての」
『随分と体を張ったみたいですね』
治りが早い神楽ちゃんや、無駄に傷つくことに慣れていそうな銀さんはともかく。ぱっつぁんは偶に体を気にする素振りを見せている。
『夜王鳳仙ですか?それとも、神楽ちゃんの親族ですか?』
「……ハゲ?」
『……そのかわし方はよくないですよ。わざとらしい』
「俺は夜王の方」
この人は変なところに感づく。そっちは親族の方かって言っているのと同義だ。
『あれ、お兄さんですか?』
銀さんは無言で神楽ちゃんを見る。肯定しているらしい。
しっかりばっちりハゲの子か。殺そうと思えば、殺せただろう。本当によく生きていたものだ。
武闘大会で優勝するんだいっ!てくらいには強くなりたい。弱ければ何も守れない。守られることしかできない。別のやり方で守る手もあるんだろうけど。私が守りたいものは、
早く腕治すか。
『あ、そうだ。帰り屯所まで送ってくれませんか?この腕じゃ相打ちにすらなれないんで』
吊っている左腕をぷらぷらさせながら言うと、銀さんは空になった徳利を押し付けてきた。
「酌してくれるってんなら特別サービスで送ってやるよ」
さっきまで車椅子美人に酌させてたくせに。わがまま野郎。
注いでやった酒を口に含み、銀さんはいつもの死んだ目で吉原を眺める。
「無理すんなとは言わねぇけどよ、周りはよく見とけよ」
『……わかってる』
幼いことに、悔しさが勝って素直な返事ができなかった。
今ある最後のお菓子を食べたところで、急に頭を鷲掴みされる。そのままがしがしと乱雑に撫でられた。
『な、なに?』
銀さんが何も言わないもんだから、私もただ黙って撫でられるしかない。しばらくぶっきらぼうに撫でまわされて、ぐちゃぐちゃの髪を手櫛で整える羽目になった。
646人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
練紅龍(プロフ) - りるるさん» ありがとうございます!夢主ちゃんよかったね!!私も読者様大好こ (2023年3月27日 18時) (レス) id: 2fe40886f6 (このIDを非表示/違反報告)
りるる - 夢主ちゃんが可愛すぎて ちょっともう…尊いですねはい。まあとりあえずアレですよアレ、作者様大好こ (2023年3月25日 2時) (レス) @page22 id: bfd3ef8afe (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - 雪さん» 長い間お待たせ致しました...喜んでいただけて嬉しいです!スマホが無事でありますように! (2022年10月31日 16時) (レス) id: 817163acd5 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 久しぶりに見に来たら更新されていてスマホ投げました。嬉しいです!! (2022年10月25日 20時) (レス) id: 6eb434b1d5 (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - 服は歩けませんね...着てください... (2022年10月25日 13時) (レス) id: 817163acd5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ