異能力:ドラ○もん (ページ22)

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私と猫と福沢さんと 2 ページ22

「矢張り、駄目だったか...」

おじさまがベンチから立ち上がる。

その背中があんまりにも寂しげでああああああああああ

このままだと、彼はこの子たちの素晴らしさを感じることができない。

(そして私は、あの尊い絵面を再び拝むことができない。)

それは厭だ、と思った。

だからこんなことを口走ってしまったのだろう。

「あの、この子たちとお話してみませんか!?」

「...え??」

ぽかりと開いた相手の口を見て、寡黙そうな彼もこんな表情ができるのかと、半ば現実逃避している頭で考えた。

そりゃそうだ。

いきなり話しかけてきた少女(?)がこんなにも電波だったら吃驚するよね、うん。

「いやその、変な意味ではなくてですね。その、私の故郷に古くから伝来する特殊な芋を利用したこの蒟蒻で、動物たちと会話をすることができるのですよ」

なに言ってんだ私。

しかし冷静な頭とは裏腹に私の口はとどまることを知らず、次々と言葉を発していってしまう。

「その名も、...てってれーん!ほんやくコンニャク～!!」

「鉄手連(てってれーん)??翻訳蒟蒻??」

「人工物は一切使用していない、体に優しい蒟蒻です」

「な...」

「本当に美味しいですよ!騙されたと思って食べてみて下さい!」

もう自棄だ。

半ば捨て身の覚悟で彼の口に蒟蒻を投げ込む。

結構距離があったはずなのだが、蒟蒻は見事な流線型を描いて口の中にすっぽり収まった。

ギャグマンガかよ。

「!?!?」

彼は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしたあと、無言で蒟蒻を咀嚼した。

そして、目を見開いた。

『ねぇねぇ、おじさんだれ?さいきんたくさんきてるよね』

『ボクとパパにはまけるけど、なかなかかっこいいからだをしているじゃないか』

『にぼしくわせろ』

『はじめまして、しずかです。あなたは?』

きっと、彼らの声が聞こえたのだろう。

ゆっくり大きく瞬きをしたあと、ふわり、と笑ったのだ。

_______ヤバい、と思った。

真逆こんな顔をするとは。

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尊みが深い...(恋だと思った?残念でした!)

「...そうか。俺は福沢諭吉だ。宜しく」

『『『『よろしく!!!!』』』』

とある良く晴れた日の昼下がり。

最高の癒し空間、此処に爆誕。

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(...この蒟蒻は何処で手に入るのだろうか)

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偶然いた太宰「とんでもないものを見てしまった...」