【実.況.者】誰も知らない彼女の一面【キ.ヨ】

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「もしかして、百合さん照れてるのぉ？」


ニヤニヤと最大限に気持ち悪い笑みを浮かべながら、煽るような口調で照れているであろう顔を覗く。


「〜〜〜〜〜っ」


バッ、と腕で顔を隠しながら俯かせていた顔を上げた百合さんの顔は案の定、真っ赤だった。


「っ手伝ってくれてありがとうございましたさようなら！」


聞いたことのない程の大きな声で言い放ち、居ても立っても居られなくなったのか、ドアを勢いよく閉め出て行ってしまった。

目の前で起きたことが処理しきれなかった俺は、しばらくの間、ぽかーんと口を開けていた。




先程の真っ赤にさせていた百合さんの顔を思い出す。


あんな顔も、出来るんだ。


百合さんだって人間だから、もちろん感情は様々あるんだろうけど、今まで冷徹と感じる態度しか見たことがなかったため、意外性があった。

むしろ意外性しかなかった。



本当に、吃驚するくらい真っ赤だった。

例えるならば、りんごくらいに。


うーん…トマトでもいいな。

あ、いやでも俺トマト嫌いだからやっぱしりんごで。






それにしても、






「……ふはっ」





意外な一面、みっけた。



何だか嬉しくなって、思わず頰が緩んだ。

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