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……とその時、コンコン、というノックの音が聞こえた。
｢失礼いたします、烏龍茶とビールになります｣
｢ありがとうございます｣
入口に近い、櫻井さんが受け取る。
笑顔の店員さんは、扉を静かに閉めた。
｢ほら、Aさんの分も、一応ビール。無理しない程度でね。じゃ、飲みますか｣
ね！って、笑顔で言う櫻井さん。
「かんぱ〜い」
コツン、とグラスが響く音。
櫻井さんはいつの間にかビールを頼んでいて、私の持っているグラスに乾杯してくれた。
「俺も、カンパイ！」
隣の相葉さんとも乾杯する。
優しい笑顔が、安心感を与えてくれる。
グラスのお酒を美味しそうに飲む櫻井さんと相葉さんを見て、私も緊張してカラッカラの喉に、烏龍茶を流し込んだ。
それから、やっぱりお酒の席で飲まないなんて、社会人としては少し気まずい。
ひと口だけ口をつけて、勘弁してもらうことにした。
「お酒はあまり飲めないので、ひと口だけいただきますね」
うんうん、と頷く相葉さんの隣で、恐る恐るグラスを口元へ運ぶ。
ビール独特の苦味と、冷えた流体が、体に浸透していくのがわかる。
……あれ、意外といけるかも?
もうひと口、疑いつつも飲んでみると、『美味しい』と感じる自分がいることに気がついた。
「……無理してない?」
飲めないと言っていた私を心配してくれたのか、櫻井さんが尋ねてくれた。
「いえ。今日はいけるな、と思って」
私がそう言うと、嬉しそうに顔を綻ばせた。
「なら、遠慮しないで飲むといいよ。さ、もう1回頼むかな」
店員さんを呼び、すでにグラスが空になった松本さん、櫻井さん、相葉さんの分を頼む。
私は、ビールのグラスを傾けて、喉の奥へ流し込んだ。
それを見ていた松本さんが、驚いた様子で聞いてきた。
「結構いけるの?」
「いえ、普段はあまり飲まないんですが」
「そういえば、強くないって言ったけど、どんくらいなら飲める?」
だんだん陽気になっていく相葉さんが、質問してくる。
「前の事務所で歓迎会をしてもらった時に、ビールを飲んだんですけど、二、三杯目で完全に酔っ払っちゃって。その後も飲み続けたみたいなんですけど、私、どうやって家まで帰ったかを覚えていないんです」
「そりゃ強くないわけだ。二杯で酔っちゃうのか……｣
その時、櫻井さんと相葉さんが目配せしているなんて、想像もしなかった。
そして、そこからの記憶は、ほとんど無い。
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なの(プロフ) - なるちゃんさん» ありがとうございます！！移行しましたので、そちらでもよろしくお願いします〜！！ (2018年10月15日 20時) (
レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - 続きが気になる〜〜！更新待ってます！ (2018年10月15日 15時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - キル・ハーヴェイさん» 嬉しいコメント、本当にありがとうございます！これからも応援よろしくお願いします！ (2018年10月4日 18時) (レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
キル・ハーヴェイ - 凄く面白いです！引き込まれてしまいました^^更新、頑張って下さい！ (2018年10月3日 21時) (レス) id: ae1f844f76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なの | 作成日時：2018年8月31日 0時
