・ 勘違い ページ7
その時陽気な声がした。
青年が二人の腕を掴み、間に立っていたのだ。
その青年は───
「太宰……」
太宰さんだった。
「……おい、何しやがる糞太宰」
中也の浮かせていた筈のダーツはカランと音を鳴らして地面に落ちる。
彼の異能力は『人間失格』。
触れたものの異能力を無効化できる。
ある意味チートの異能力。
だから中也の異能で浮いていたダーツは太宰さんが触れるだけで落ちてしまった。
「何って、私の部下を中也が殺そうとするから止めてるだけだよ」
太宰さんは中也を見ながら笑う。
中也が顔をしかめているから
太宰さんの手には力が入っているんだろう。
「ふざけてんのか、手前…
コイツは俺の部………」
「中川〜、ちょっと中也お願いするよ」
その時中也の言葉を遮って太宰さんは
私を視界にいれる。
「え、…は、はい!?」
突然呼ばれた私は変な声をあげた。
「おいコラ、聞いてンのか!糞太宰!」
太宰さんは中也の言葉なんてお構いなしに
中也を私の方へと押した。
「はい!」
明るい声を出した太宰さんは腕をパッと離す。
「わっ…ちょ、ああああ!」
中也は悲鳴に似ていた声を上げて私の方へと倒れかかってきた。
その中也を私はすかさず押さえた。
「おい何しやがる太宰!」
「ややこしいことになるから中川、
そのまま中也押さえつけててね」
「離せ!アラナも離せ!」
鼻息を荒くしながらカッとなっている
中也は私が固定した手足を動かそうとする。
相手は幹部なのに幼稚園児みたい…
太宰さんは何か考えがあるのだろうか?
私はそれを感じてとりあえず中也を押さえることにした。
力が足りないから異能で力を中也の比率と合うように調整する。
そして太宰さんは───
私たちに背を向けてリイナの方を向いた。
「私は…私は…」
リイナは真っ黒な目をしたままだった。
「はぁ…
中川も中也もちょっとやりすぎかな」
そう呟いた太宰さんはこちらを向くことなく
突如リイナの腹部を蹴った。
「……がッ!」
「私は言ったよね。
君の異能は戦闘に不向きだ」
「……っ!ちょっ…」
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作者名:kana | 作成日時:2021年8月23日 20時