・ 横抱き(4) ページ6
「……《異能力》『月夜の浜辺』」
ボソリと呟いた私と同時に中也の身体は
先ほどよりも素早く動き出す。
私の異能力『月夜の浜辺』は、自分のなかのエネルギーを使ってあらゆる事ができる。
例えばスピード加速、
攻撃速度や威力の向上など…
自己強化、または他人の強化ができる。
ただ、これも弱点が2つほどあった。
1つは1日に限度があることだ。
限度以上を一度だけ使った事があるけれど…
───その記憶だけが切り取られたように失われている。
だから何が起こるか分からないため限度以上は使わない。
そして2つ目は回復は出来ないこと。
傷を治癒することだけが、
私の異能力で出来たことが一度もなかった。
「………!
…始めからそうしておけば問題ねェンだよ」
自分のスピードが加速されたことが分かったからなのか中也はニヤついてリイナの攻撃を軽々と交わしていく。
「おいおい、そんなもんか?
そんな実力であの糞太宰の部下だなんて
笑わせる話だぜ…!」
「………ッ…うるさい…」
リイナの表情が歪む。
「手前より、俺の部下のが優秀だ。
太宰も手前を選んだのは間違い……」
「……ッ!うるッさい…!!」
中也の挑発にのせられた
リイナは重ねるように大きな声で叫ぶ。
そしてさっきの中也のように殺気立つ目を私たちに向けた。
「なら証明してみせろや」
地上に降りた
中也は私を降ろしてリイナに歩みよる。
飛ばしたダーツを1つ浮かせながら…
これでリイナの心臓を撃ち抜くつもりだろうか…
「……うるさい」
リイナは両手の銃を落として俯く。
「……終わりか?」
「…………」
リイナは何も言わない。
ただただ、自分の足元を見ているだけ…
の、筈だった。
明らかにおかしい。
様子がおかしかった。
ここまで近距離に敵が来て殺さず諦めるという選択肢があるのだろうか。
「……ッ!中也……ッ!
リイナに近寄っちゃだめ……」
『何か』に察した私は中也に叫ぶ。
───顔をあげた彼女の目は深い深い漆黒の色をしていた。
───っ!!
「はーい、そこまで!」
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作者名:kana | 作成日時:2021年8月23日 20時