・ バーにて(2) ページ23
最下級構成員、マフィアでは底辺の中の底辺の存在なのだが…
「織田作之助……
……!!君、太宰にオダサクって呼ばれてるあのオダサク?」
その聞き覚えのある名前に私はハッとした。
なぜなら、太宰から彼の名前や自慢話を聞いたことがあるからだ。
マフィアの最下級構成員、孤児を養い…人を殺さない。───殺さずのマフィア。
彼はそう呼ばれている。
ただ、その反面…彼は強い異能を持っているらしく。太宰曰く
『オダサクを怒らせてはいけない』らしい。
「あぁ、そうだ」
オダサクは私の隣に腰を下ろして、
店主に酒を注文した。
そして手元にはまだ何も入っていない
灰皿が置かれる。
「そういえば、お前は太宰と接点があるみたいだな。お前は───」
「ポートマフィア最年少幹部太宰治の
直属の部下…雨宮リイナ。」
そう言って私はオダサクに笑いかける。
きっとこれからはこの名も、名乗れなくなってしまう。
そう思ってしまう胸がきゅっと締め付けられるような感じがして、悲しさが増す。
オダサクは当たり前だが知りもしない。
彼は私の目の前で煙草を吸って…ふぅ、と一服していた。
息を吐いたあと彼が口を開く。
「雨宮リイナ…あぁ、リイナ。
リイナ…か。
大きくなったな。あの時太宰が拾った……」
「……うん、私はあの時太宰に拾われた」
そういえば、そっか……
あの時だったな、12歳の頃。
太宰に──────
………って、
「……え!?」
私の心の声が大きな声として漏れる。
一瞬流れで飲み込んでしまったが、やはりおかしい。
なぜ、『太宰が私を拾ったこと』を知っているのだろうか。
この情報を知っているのはマフィア内では数少ない。中也だってアラナだって知らない筈だ。
「な、何で私が拾われたことを…」
私は目を丸くして、オダサクの顔を覗き込む。
「ん…?あぁ、お前は俺のことを覚えていないのか」
「私は君と初めて会ったよ、今
それとも私が忘れてるだけ!?嘘…!」
首を傾げるオダサクは「なら、俺の事までも…」なんて意味深な事を呟くも私の脳内には入らない。
いつぶりか、太宰以外の言葉で私の心は動揺させられた。
「まぁ、もういい。気にするな。
俺たちがここで会ったことに変わりはないからな」
「まぁ、…そうだね」
にこりとした私は手元においていた飲み物を口に運ぶ。
何故か始めに飲んだ時よりも甘さが増している気がしたのは気のせいだろう。
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作者名:kana | 作成日時:2021年8月23日 20時