愛してる、愛してない【文スト】 (ページ21)

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・　芥川龍之介(6) ページ21

ただ、それがいつもの光景だからなのか呆れたからなのか…すぐに表情を戻した。

「………ねぇ、殺されたいの？芥川君。
君がリイナにする事なんて、簡単に予想がつくけども……まさか本当にするなんて。」

太宰さんはリイナの服についた血を指差している。

芥川とリイナは太宰さんの目の前に2人で立っていた。

だが、リイナの表情とは反対に
芥川の表情がどんどん強張る。

「……すみません…っ、…でも僕は……」

「まぁ今回は見逃してあげるよ。
……首領が呼んでるからね、私と君を」

「え……」

太宰さんがその言葉を放った。
それと同時に私とリイナの声が同時に漏れる。

「だ、太宰…ぇ、なんで？
何で私と太宰じゃなくて…太宰と芥川なの？」

リイナは笑顔なままだが声は震えている。

「あぁ、リイナはプリズナーの事からは外されたんだよ。首領の命令でね。
変わりに芥川君が私の補佐をしてくれる。
だから、リイナはこれからも芥川君の治癒を任せる事にするよ」

太宰さんは笑顔でリイナの頭を撫でた。

「……っ
そ、そうなんだ、なら仕方ないね
私は太宰に言われた通りにするよ」

リイナは笑って太宰さんの目を見た。

違う……リイナは笑ってない。

表面上笑ってるんだ。
…太宰さんの真似をして。

リイナの顔がまるで私にしか分かっている人がいないみたいで何故か恐怖を覚えた。

「話はすんだか？
……なら行くぞ太宰」

「あぁ、分かってるさ」

その言葉と同時に
リイナの頭から太宰さんの手はすぐに離れる。

｢あ……」

太宰さんに見えないくらいの動きリイナは悲しい素振りをみせた。

そうして三人はリイナを残して部屋から出て行った。

残ったのは私とリイナだけ。

「…アラナ行かないの？」

笑顔を向けてくるリイナ。

その笑顔に悲しさが混じっていて私は辛くなった、一緒に連れて行きたかった。

………でも、連れていけない。

「…………リイナ、ごめん」

そうつぶやいた私はリイナに背を向けて部屋から出ていった。

首領の部屋にそのまま向かっていると
しばらくしたところで聞こえる声。

「……………太宰に捨てられたんだ」

ポツリと部屋の方から聞こえたその声には嗚咽が混じっていた。

私は歯を食いしばって首領の部屋に向かった。