・ 横抱き ページ3
その青年の名前は…
太宰治。
ポートマフィア史上最年少幹部らしい。
一見普通の無邪気な青年に見えるが怖い。
中也の何倍も怖い。
すごく怖い。
だから正直この人とは関わりたくない。
でも中也の相棒であり、情報提供者としては適しているらしくここで私たちと情報共有をしている。
「ちぇ…
中也はあまり賭け事は好きじゃないか」
頬を膨らませて太宰さんは
「次は7!」などまたギャンブルを始める。
中也は顔に「殺す」と書いてあるかと思うくらい殺意を出していた。
「あっ…あはは…」
私は苦笑いしながら中也を見つめた。
その時ふと隣の同僚がニコニコしながらグラスをつついてるのが見えた。
彼女は雨宮リイナ。私と同僚の15歳。
リイナは太宰さん直属の部下だ。
いつも笑顔でほとんど怒ることのないと言われるポートマフィアの1人。
頭脳明晰というわけではなく
推理も得意な訳ではない。
それなのに彼女の不思議なところは…
ボスではなく
太宰さんに部下として任命されたことだ。
何でだろう…?
戦闘能力とかだろうか…
リイナから目を反らし
うーんと私が首をひねっていると…
「…ねぇ、アラナ」
ふとリイナに名前を呼ばれた。
「リイナどうした…
………ッ!?」
私の言葉は途中で途切れた。
リイナが銃口を私に向けていたからだ。
少し動くと鼻先に当たってしまうほど。
さっきまでの笑顔は嘘のように
無感情の顔をしており、
引き金をひこうとする音が聞こえてくる。
上記のことを私は瞬時に理解できた。
なんでいきなり……?
だが身体の反射神経はそれに反応する事なく私の身体は一気に硬直する。
血の気が引くのがわかった。
私の『あれ』は反射的に使えるものでもない。
心臓が大きく跳ね上がっているのもリイナは待ってくれなかった。
リイナは3度口を小さく開いて……
そのまま引き金を私にひいた。
パンッという音がカジノ中に響き渡る。
さっきの太宰さんの声の何倍も大きく…
カン…カンと弾丸の落ちる音。
銃口から臭うのは煙のような匂い。
しんと静まりかえるカジノ。
そして当の私は……
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作者名:kana | 作成日時:2021年8月23日 20時