・ マフィアにて ページ29
〜アラナ視点〜
首領の部屋にて
「そういえば、太宰君が雨宮くんを連れて行かないのは珍しいね」
私たちの目の前で机に肘をつけ、手を組んでいた首領が思い出したかのように言う。
私…アラナと中也、そして太宰さんと芥川はプリズナーのアジトへの潜入捜査の話を首領から聞いていたのだが…
話が終わったと思えば、否。
首領は気になったかのように太宰さんに問うた。
首領の言葉に芥川が少々反応したのが私の目からは伺え感じがする。
「いきなりどうしたの?首領」
「太宰くんは雨宮くんと拾ってきたときからいつも一緒にいる気がしてね」
不思議そうに太宰さんを見つめる首領。
「あー……今回は芥川君が異能をどれくらい使えるようになったのか、実際に戦わせようと思ってね。
芥川くんも久々に、人を殺してみたいよね?」
太宰さんは笑顔で続けて芥川に同情を求めるかのように彼を見つめた。
「はい、僕は『羅生門』でプリズナーと呼ばれる組織とやらを引き裂いてみせます」
無理矢理言わされたような芥川だったが、彼もそれに気づかずに、純粋に太宰さんの質問に答える。
───芥川はきっと悪い人ではない。
さっきリイナに攻撃を仕掛けたのも太宰さん関連のことなんだろうな、と今の行動から感じた。
………なんだか、勝手に勘違いをしてしまったのが申し訳無い気持ちになる。
「ん?そういや、太宰。
手前はリイナを何処で拾ってきた?」
昔から気になっていたが、と中也は首を傾げて続けた。
「なんだよ中也。いきなり…
私が何処でリイナを拾っていても、きみには何の関係もないだろ」
中也の言葉に軽々と返事をする太宰さん。
「なんだと、手前!
関係なくても気になるんだよ俺は」
私も少し気になるな、と思いつつも太宰さんは一向に口を割ろうとしない。
「そろそろ中也君たちにも教えてもいいんじゃないか?太宰くん」
そこで首領が助け舟を出した。
「森さん…?
私は中也たちに教えたくないのだけれど」
笑顔を崩さないまま太宰さんは続けるが首領が、「実は私も忘れてしまってね」と言ったものだから太宰さんは溜め息をつく。
「………わかった。
……少しだけだよ、でも…もしこれをリイナに言った時は…首領、中也たちすぐに殺して」
太宰さんは感情を込める気もなく、首領に伝えた。
51人がお気に入り
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:kana | 作成日時:2021年8月23日 20時