3-1粒目 ページ4
グルッペン君からのお誘いで紹介されたお友達は面白い人達ばかりで、さすが彼の友人と言いたくなるような個性は揃いだけどいい集団。今思い返すととっくの昔に一緒に受講していたクラスは終わっているのにずっとグルッペン君、いやグルッペンと一緒にいる時間は増えた。
大学で特に決めた友人と行動することがなかった私はいつの間にか彼はと過ごす時間が長くなっていることに気がついた頃にはグルッペンの料理の腕はとてつもなく上がっており、しかも頻度も日に日に上がっていて遂には中がトロッとしたガナッシュまで作り出す始末で彼の成長速度にみんなで目を見張っていた。
「いいか、これは"Aに"作ったモノだゾ。お前たちのはあそこの失敗作入れに入れている。」
「毎回悪いよグルッペン……本当に試食係に私をご指名な理由がわからないよ。みんなに食べてもらえばよかったのに、ねぇ?」
「Aに食べてもらいたくてここまで頑張ったんだ、一番出来のいいものを君に食べて欲しいと思うのは当たり前だろ?」
「グルさんAに食べて貰いたい言うてるんやし、それでグルさんご機嫌なるんやし俺らはお零れもろてるし気にしんとき。」
「トントン……そこまで私が食べることに理由ってある?」
「お前ホンマに美味そうに食べるからグルッペンも作りがいあるってだけやろ!気にすんな気にすんな!」
適当ばっか言って、と横目で大声で笑うシッマを睨みつけるとあ、とロボロが何かを思い出したかのような声を出した。何かと首を傾げるといつも何かにつけて遅刻こそすれども来るはずの鬱くんがいないと気付いたらしい。
あぁ確かに、いつもの声がひとつ足りないと当たりを見渡すとしん、と静まり返ってみんなが目を見開いて一斉にこっちを見つめてきた。
何……?
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作者名:ミューゼス | 作成日時:2024年2月6日 0時