7粒目 ページ14
「ん……あれ……ふぁ……寝てた？」
「ん、おはようA。よく寝てたな。」
「え、……私寝てたの。」
「紅茶を飲んで暖かくなってきたと言ったっきり寝てしまった。ちなみにあと10分で休み時間だ。」
気持ちよさそうに寝ていたゾ。と本を畳むグルッペン。疲れていたのか、寝付いた記憶が無い。どれくらい寝ていたのかとスマホを確認するともうすぐ空きコマは終わる。私は少し離れたとこの教室に行くために教室を出なくてはいけないデッドラインスレスレだ。
ほら、遅刻する。と背中を押されまた明日と手を振るグルッペンにいつも通り手を振ろうとすると待って！と思わず叫んでしまった。
「待って。あの、わ、わた……し、まだグルッペンと一緒にいたい。」
「ん、それはどういうことだ？」
「え……いやあの、あれ私……ごめん何でもない。」
「そうか。寝ぼけてるのか？また明日会えるんだ、ここで待ってるからな。」
「うん。そうだよね……じゃ、あね？」
「あぁ、また明日。」
口をついて言葉が出た。
思ってもないなんて言ったら嘘になるけど咄嗟にグルッペンの腕を掴んだ手はあまりにも衝撃的に動いていて、私の頭では処理できなくって。
あやふやに笑ってその場を濁して気まずくって逃げるように教室から出て授業に向かった。
その日を境に私の体は突拍子も無い動きをするようになった。
自分の体だ。自分の言うことを聞かないことなんてあるわけない。最初はそう思っていた。けれども明らかに自分の体はおかしい。
グルッペンが席を立ったりして自分との距離が少しでも離れようものなら勝手に涙が出てくる。グルッペンがふいに目線を逸らしたらじっと覗きこんでしまう。グルッペンに執着してしまっているような言葉も、グルッペンは嫌がるそぶりを見せないが常人なら気が狂うほど吐き出してしまう。
このままグルッペンの近くにいたら今以上の迷惑をかけ続けてしまう。
ダメだ、ダメだ……そう思うのにいつも決まった時間、決まった場所で、嬉しそうに私がお菓子を食べる様子を眺めるグルッペンが今日も隣にいる。
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作者名：ミューゼス | 作成日時：2024年2月6日 0時
