泣き虫継子 弐【宇髄天元】

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鴉「コッチダ！コッチダ！」

鴉に連れられてやって来たのは数人の鬼殺隊士。杏寿郎は彼らに負傷した子供を任せ、鬼のあとを追うため外に出た。

煉「(Aにも連絡入れなければ。彼女達が危ない)鴉、Aの鎹鴉にすぐ連絡を」

杏寿郎の指示を聞いた鎹鴉は、再び昏い空へと舞い上がる。それを見届けた杏寿郎は走り出した。

煉「(全集中………)」

線路の上をひたすら走り続ける杏寿郎。


急がなければ。


例えAが側に着いているとはいえ、彼女達の命が危ない。


ーーAsideーー

トミ「全く。フクは効かん子だねぇ」

フク「手伝うったら手伝うの！」

『………』

朝の昏い道を三人は歩いていた。と、二人の後ろを歩いていたAは空に杏寿郎の鴉が旋回しているのに気付く。

『(あれは、煉獄さんの鴉？何かあったのかな……)』

響「カァー！カァー！」

『(響………。“鬼がこちらに向かっている。狙いは弁当売りの二人”！？)』

フク「Aお姉さん？どうしたの？」

『何でもないよ』

不安な顔で見上げるフクの頭を優しく撫でる。同時に不安な気持ちが一気に来た。

『(どうしよう。煉獄さんがこっちに来る前に鬼に遭遇したら……。ううん。迷ってても仕方ない。私がフクちゃん達を守る)』

Aはそっと日輪刀の鍔を触った。

フク「おはようございます！」

駅員「おはよう。今日も早いねぇ」

A達は駅舎に入って行く。そして昨日のところで開店の準備をする。

フク「あ、お姉さん、それはこっち！」

『こっちね。了解。フクちゃんこれは？』

フク「それはここだよ！」

『分か………。っ！？』

すると突然、鬼の気配が強くなった。

フク「よしっ！………Aお姉さん？」

背筋が凍るような空気。

Aはフクを背にし、いつでも抜刀出来るように日輪刀に手をやる。

『………』

鬼「匂う……。匂うぜ。……お前だな？くせぇ弁当の匂いが染み付いてやがる」

『(小声)フクちゃん、逃げて』

フク「おねえ……さん……？」

鬼「お前に恨みはねぇが。あの鬼狩りが全部悪いのさ」

鬼がどんどん近付いてくる。それに従うようにAとフクも一本ずつ後ろに下がる。

と、その時。

『っ！！』

鬼の顔に弁当が投げ付けられた。鬼の後ろにいるトミが弁当を投げたのだ。すると鬼はうめき声をあげながらしゃがみ込む。

トミ「二人共！逃げるんだよ！」

『フクちゃん逃げて！』

Aはフクの背を勢い良く押し、フクを逃した。

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