泣き虫継子 弐【宇髄天元】

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煉「俺は鬼を探している者！鬼を見ていませんか！」

山下「『えーーっ！？いきなり！？』」

鴉「杏寿郎様！単刀直入ガ過ギマス！！」

杏寿郎との付き合いのあるAも、まさかの事で驚く。すると婦人が杏寿郎を見て驚いた顔をしていた。

煉「ん？御婦人。何かご存知か？」

少女「お、鬼！？変なこと言って……！ち、近付かないで！！」

『ごめんね？怪しい者じゃないの……』

煉「危ない！」

Aの言葉を探り、杏寿郎がそう叫んだ。

煉「そんなに震えていたら、大切なあんぱんを落としてしまうぞ！」

『(そっち！？！？)』

少女「来ないでーーーっ！！！」

と、少女が持っていたあんぱんを杏寿郎に勢い良く投げつけ、杏寿郎の顔にあんぱんが張り付いてしまった。

山下「『っ！！』」

『(さすがの煉獄さんでも怒るかな………)』

あんぱんを投げ付けた少女は怯えた表情でこちらを見ていた。すると杏寿郎は怒鳴るでもなく、あんぱんを手に取り口に運ぶ。

煉「上手い！！！」

『(そうだ。煉獄さんはこう言う人だ……)』

婦人「フク。この人は悪い人じゃないよ」

“フク”と呼ばれた少女はしょんぼり肩を落とす。

フク「ごめんなさい……。このところ、斬り裂き魔事件のせいで精神が張り詰めちゃって……」

煉「今しがた耳にしたところによると、あなた方は暗いうちから準備して我々のために弁当を売りに来てくれるのだな。実にありがたい！そのような人々が傷付けられる事は、決してあってはならない！」

『煉獄さん………』

煉「安心するが良い！斬り裂き魔は俺が片付ける！」

『煉獄さん。俺“達”ですよ』

Aは少女の目線に合うようにしゃがみ、頭を優しく撫でる。

『大丈夫。お姉ちゃんとお兄ちゃんが、斬り裂き魔を退治するから、安心してお弁当を売ってね』

フク「お姉さん………」

煉「では！」

Aはもう一回フクの頭を撫で、杏寿郎と共にその場を去る。

フク「あ、あの！」

煉「ん？」

フク「その……、もしよろしければ、お弁当買ってもらえませんか？」

『煉獄さん。どうしますか？』

煉「そうだな。……では、全部いただこう！」

『(え、まさかの全部？まぁ煉獄さんらしいというかなんと言うか……)』

駅前で話し込むAと杏寿郎。山下がお弁当を抱えて隣に並ぶ。

山下「あの……炎柱……」

煉「隊の皆に良い土産が出来たな！ここからは俺一人で行く。ご苦労だった。A。よろしく頼むぞ」

『はい。煉獄さん。お気を付けて』

その場を離れる杏寿郎の後ろ姿を、二人は黙って見つめていた。。

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