25 とも ページ25
釣られた訳では無いあくび。
手を上にグーッと伸ばす動作。
少し後ろから彼は静かに笑った。
「…すごいよね。」
「まぁ…もう軽く30年は一緒なんでしょ…笑？」
「幼馴染でも中々無いだろ。これは。」
うっしーが軽くツッコミをした。
全員前日入りの撮影でホテルに一泊した。
最高級とも一番低いとも言えない一般的なホテル。
レトさんとコハクが取ってもらった部屋は
間が一つ開いていたようなのだが
その間の部屋の人が夜中に結構な音を立てていたらしい。
お陰で二人とも寝不足なのだという。
朝イチで顔を合わせたときには
「あ。」
「あぁ、うん。」
「まぁ、そうなるよね。」
「そりゃぁね。」
主語が一切ない会話を成立させていたのだ。
今は昼の長めの休憩時間。
よく喋って、体を動かして、ご飯を食べて。
二人の眠気はピークのようだ。
今日は3人1チームに分かれてのチーム戦。
キヨとレトさんとコハク。
フジとうっしーと俺。のチーム。
「コハク、安心しきってるなぁ…笑」
あぁ…
「フジさぁ…」
またか…
「なに？ガッチさん？」
またなのか。
「コハクのこと、大好きでしょ。」
何となくは分かっているつもりではあるけれど、
「…幸せであってほしいじゃん？」
何故そんなにも優しく笑うのだ。
うっしーが不敵な笑みを浮かべた。
「あ、うっしー何か知ってるでしょ〜？」
「さぁな…笑？」
椅子に座っていたコハクが立ち上がった。
時計を見ると予定の2分前を指していた。
休憩時間がそろそろ終わる。
「もう集まる？」
長身の彼が彼女に問うと、頷いた。
「なんだっけ、次。」
彼女の横に座っていたマスク姿の彼が
立ち上がりながら聞いた。
「××。」
「あ〜。」
一息置いて声を出した。
「…俺たちも集まろっか。」
「そうだな。」
「そうだね。」
後半戦の開始だ。
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作者名：みこと | 作者ホームページ：http://なし)ー
作成日時：2022年6月14日 20時
