Whitelight DLC【実/況/者】 (ページ21)

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21 モノクロのベールページ21

見て見て〜と
ガッチさんが指さしたのは私のものではない
女物に見える服。

これ、キヨくんのだなぁ…そう思いながら
何やらウキウキのおじさんを見て黙った。

「コハクも浮いた話ないよね。」

「え、何？急に。」

ガッチさんが突拍子もなく言いだした。

「いや、無いよなと思って。」

「うん、いないんだもん。無いものは無いよ。」

「あ、本当なんだ。」

うっしーがへぇと反応する。

「え、何。恋バナの雰囲気してる。」

服の正体であろうキヨくんがフラッと参加した。

「意外とキヨくんこういう話好きよね。」

「うん、楽しいじゃん。恋バナ。」

「そっか笑」

「コハクの恋バナしようよ。こんな事滅多にないんだから。」

「いいの？暗いよ？」

「そういう話も好きです。」

「あら、そう。私、彼氏がいたことはあるんだよね。」

「まぁ…それは別に驚かない。」

ガッチさんが反応してくれた。

「…交通事故で亡くなっちゃったけど。」

「え…。」

うっしーの抜けたような声が聞こえた。

「大学4年生の頃に付き合って4年目になる人でね…
本当に大好きだし、
何もなかったら今、おそらく私は人妻になってると思う。」

本当に好きで好きでたまらなかった。

「そっかぁ…。」

キヨくんがすでに返事をするのに詰まっている。

「友達と遊びに行って帰ってきた車だった。
待ち合わせしてて、
目の前の交差点で正面から来た車とぶつかった。
助手席に乗ってた彼は苦しまなかったみたいよ。」

「え…待って？現場見てるの？」

ガッチさんの目が開かれていた。流石に驚いているようだ。

「見てたよ。ぜ～んぶ覚えてる。」

首を縦に振った。

「コハク。」

レトルトが私を呼んだ。

「いいよ。だって3人だし。」

「レトさんは知ってたんだ…」

キヨくんは落ち着いている。

「うん。私がレトルト好きな理由これだもん。
フジくんもそうだけど。」

「フジも知ってるのな。」

うっしーがなるほど、と感心したような表情を浮かべる。

「まぁ、
まだ単純に彼を超える恋愛的に好きな人がいないだけだね。
以上。人によってキュッとなるような純愛なのか、
グッズグズの未練なのか解釈が分かれるお話で～した。」

「ありがと、話してくれて。」

なんだかここに来て軽くなったような気がした。