【ヒロアカ】クズ先輩とタフネス君【男主】 (ページ22)

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２１話ページ22

「そういや先パイの個性ってなんすか。俺と全く同じじゃないっすよね。」

爆豪はAの個性が爆発だというのは知っていたが、詳しい内容までは知らない。
全く同じじゃないとわかったのも、去年の体育祭のテレビを見て、少し違和感を覚えたからだ。

『手と足の汗腺からニトロみたいなものが出て爆発するのと、視界に入った無機物を爆発出来る。
えろ同人みたいな服だけとか出来ると知った時は歓喜したよ。』

「聞いてないっす。」

テレビを見た際、手からの爆破とは関係ない離れた場所が急に爆破したように見えたのは、この後者の個性の事だろう。

爆豪は自分自身、優れた個性を持っているという自覚はあったが更に上の、しかも上位互換の個性を持った相手が目の前にいる。
本来なら悔しさや羨ましいと思う所だが、不思議とそんな風には思わずただただ、これからの修行が楽しみであった。

『言っとくけど人の修行のつけ方なんざ俺は知らん。
だけどお前は根っから対人専門だろ。ならやる事は戦うのみ。取り敢えず個性無しの組手だな。』

「個性使わないんすか？」

『何、個性がなきゃ不安か？自身ねぇの？』

「はっ！むしろそっちのがありがてぇよ！そっちのが勝機は高ぇえ！」

個性ありなら、上位互換の個性を持つAの方が勝つ確率は高い。
しかし、個性無しならばシンプルな力とテクニック勝負。一つ上の先輩だろうと、爆豪は負ける気はしなかった。

ルールは地に伏せたら負け。急所等への攻撃や砂を使った目つぶし等の卑怯な事もなし。
正々堂々の一本勝負。

『はいはい、それじゃあスタートね。』

「………は？」

『はい終わり。僕帰るね。』

爆豪の目前に広がるのは赤くなり始めている夕暮れの空。遠のいていくAの足音。
Aがスタートと言って、爆豪は先手を取ろうと、真っすぐ走り出した。

緑谷にも指摘された右の大振り。それを決めようとしたと思ったらいつの間にか爆豪は大の字に仰向けで倒れていた。

「っはは、やっぱすげぇ。」

悔しいはずなのに、爆豪は上がる口端を抑えられなかった。